世界で一番幸せなにおい 作・青瓢箪

今回の詩はこちらから。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885035104/episodes/1177354054885035106


この詩は関西圏(?)の方言で書かれている。方言というのはまさにその人が生活で使っている言葉だ。口語自由詩というけれども、多くは標準語に沿って書いている人が多い。

僕自身もごく稀に使うだけで、詩は標準語に近い言葉を使用している。関西弁やそれに近い方言は既に今の時代、概ね受け入れられているのだからもっと使ってもいい。


生活で使う言葉はそのまま肉体に馴染んだ言葉だから、心情を表すには持ってこいではないか。この詩が柔らかな雰囲気を放っているのは母性や愛する者への優しい眼差しがあるからだけでなく、方言を使うことで日常を想起させて実感のある厚みを持たせているからかもしれない。土佐弁やら東北弁だとどうなるのか?と興味をくすぐられた。


少し気になったのは、所々、語尾や語句が書き言葉を思わせる部分があったことだ。



 ウチは これから永遠に


相手にされなくても


 イケてない男になろうとも


永遠に、や、なろうとも、なくても、この辺りも方言か日常の言葉で徹底した方が良かったのではないか。永遠に→ずっと、とか。イケてない男になろうとも→イケてる男になれへんでも、でいいようにも思う。他にもある。少し格好良さ、を意識してしまったような印象を受けた。それが調子のブレと感じてしまう。方言を使うなら、徹底した方がいいのかもしれない。


それから赤ちゃんの匂い、ええ匂い、という流れから具体的にホットケーキやキャンディに繋げることで読み手が、あぁ、甘い匂いなんだ、とわかりやすい。甘み、は心をほぐす。子育て、の大変さや疲れも吹き飛ぶぐらいなのだろう。


面白いのはその匂い、がフェロモンと書かれていることだ。母親から子どもへの一方的な働き掛けでなく、子どもから放たれるフェロモンで母性が刺激されるとしたら、未成熟で自分の身を守ることが出来ない赤ん坊の本能的な自衛手段が母親に働いているようでもある。(これは深読みし過ぎか)


欲を言えば言葉はもう少し切り詰められる、と思うが方言を使った詩であり興味深く読ませて頂いた。


今作品は一人の人間に向けたラブレターのようなものだ。最後の『世界で一番幸せな匂いのするあんたへ』という結びもそれを感じさせる。

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