第2話 衝撃の目覚め
エバ・シャーリーは死んでしまった。
しかし……奇跡が起きた。
悪魔の力を借りて、新しい体に転生することになった。
これが正解だったかのは、エバにはわからない。
けれど、エバはこのチャンスに賭けてみることにした。
『さあ、もう一度やり直しよ!』
エバはそう意気込んで、瞼を開けた——。
*
暗い部屋のベッドの上で、転生したエバは目覚めた。
「——うっ! 痛っ……」
エバは体をわずかに動かした瞬間、全身に痛みを感じた。
——転生した反動? 痛いけど、生きてるって感じがする……。私、本当に生き返ったんだ……。
仰向けに寝転がるエバは、転生の余韻に浸っていた。
——悪魔って悪いやつじゃないのかもね……感謝しないとなー。……それにしても、ここはどこだろう? 暗いな……。
エバは頭を左右に動かして部屋を見回す。
サイドテーブルに置かれた照明の光だけでは、部屋の様子はわからなかった。
カーテンの隙間から漏れる光はなく、部屋の外の喧騒は聞こえないため、今は夜なのだろう、と予想できただけだ。
照度を上げよう、とエバはサイドテーブルの照明に手を伸ばす……。
——なにこの手……。
自分の右手が視線に入った途端、エバは動きを止めた。
——どういうこと……?
エバは痛みに堪えながら、ゆっくりと上体を起こす。
そして照明を明るくすると……。
右腕に包帯が巻かれていた。
慌てて掛け布団を捲り上げ、身体中を触って確認する。
——嘘!? 頭、両足、両腕、腹……身体中が包帯だらけじゃない!?
大人の女だとわかってホッとしたが、あまりにも酷い状態にエバは不安を抱き始める。
——事故……? それとも、事件?
悪魔からもらった体だけに、何か問題があるのかもしれない、とエバは嫌な予感を抱いてしまう。
エバはベッドからゆっくりと立ち上がる。
唯一確認していない顔を見るためだ。
サイドテーブルの向こうに鏡台を見つけ、エバは左足を引きずりながら、恐る恐るそこへ近づく。
緊張で徐々に鼓動が大きく、速くなっていく。
そして、鏡を覗き込んだ——。
「ギャーーーーーー!!!」
エバは悲鳴を上げずにはいられなかった。
恐怖で後ろへ仰け反り、躓いてしまう。
「——お嬢様!? いかがなさいましたか!?」
幼い侍女が慌てて部屋に駆け込んできた。
「お嬢様?」
床にへたり込んだエバの前で侍女はしゃがみ、心配そうに様子を伺う。
「…………」
錯乱状態のエバにその問いかけは聞こえなかった。
体を震わせ、その場で呆然としている。
——どうして!?
そんな言葉がずっとエバの頭の中を駆け巡っていた。
「——リリスお嬢様?」
「やっ……」
——気持ち悪い!
エバは無意識に顔に爪を立てて傷つけ始めた。
「リリスお嬢様!? おやめください!」
侍女は慌ててエバの腕を掴んで止めようとする。
「いやっ! 気持ち悪い!」
——その名前で呼ぶのはやめて! 穢らわしい!
エバが転生した体は、エバがこの世で1番憎い女『リリス・ジョーゼルカ』の体だった。
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