第21話 見た目の割りに高い実力の勘違いおじさん
予定を繰り上げて、昼には町のギルドへと戻った5人とガイとラム。
最初に町に入る時ならともかく、既に夜光連星には姿も能力も見られているので、サンテの安全性を考えて消えずに残ったのだ。
余計な騒ぎになるからと最小限に残り、コスモス、紅椿、バゴットは姿を消した。
それでもギルドは喧騒に包まれている。
「おいおい、なんだよあのリビングアーマー。鉄製っぽいのに、アイツだけで俺達全員が教会送りにされちまうぜ。いいか、誰も手ぇ出すんじゃねえぞ」
どこかでトライバル柄を聞き間違えたのだろう。
顔には後足立ちして腰に前足を当てて、えっへんと威張っている虎のタトゥーをした冒険者が、周囲に対してささやく。
他の冒険者も虎威張るタトゥーの彼の実力を認めているのか、反抗せずに素直に従っている。
受付嬢とリンの会話を聞かずに、サンテはその可愛いタトゥーを、ずっと眺めて萌えていた。
「それじゃーね、サンテちゃん。たった一日だったけど、一緒にいられて楽しかったわ。得るものも多かったしね」
「はいっ、私も楽しかったです。リンさん、みなさん、また会いましょう」
「サンテちゃんまたね」
「またどこかで」
「バゴットさんに、負けませんって伝えておいてねー」
あの後直ぐに、修行の旅に出た夜光連星を見送ったサンテ。
町の入口で、次はどっちに行こうかと考えている。
(姉さんに会いに行くか、ビッグな女になってから姉さんに会いに行くか。迷っちゃうね)
迷った末にラムから枝を貰って、その辺に放り投げた。
「よしっ、みんな、あっちに行こう!」
『!!』
落ちた枝の先端を指さしたサンテ。
これには彼女の仲間達も驚愕した。
「ほらほら、みんなー。おいてっちゃうよー」
ガイ達は慌ててサンテを追いかけ、ガードしながらサンテの好きに歩かせる。
そのサンテは投げた枝が気に入ったのか、鼻歌を歌いながら天に掲げて振り回して遊んでいる。
子供の足で昼からなので大した距離は移動できず、前日と同じ大岩偽装の一軒家にて眠った。
ただ今度は誰も消えずに、2段ベッドのなくなった大部屋でバゴットが眠った。
他の仲間達は、サンテと一緒のベッドに入った紅椿、ガイの兜に巣食ったコスモスの2名が就寝。
ガイ、ラムは睡眠不要なので不寝番をした。
「一流の冒険者は体力も一流ならしいわ。だから私も、一流の体力を目指して歩くの!」
早寝早起き健康一番なサンテは、今朝も元気いっぱいに歩きだした。
子供にありがちな飽きっぽさは見せずに、休憩を挟みつつも淡々と歩き続ける。
でも昨日の枝には飽きたのか、既に手にしていない。
代わりに紅椿と手を繋いで、姉妹のように歩いている。
その後サンテは目標通りに、険しい山へと入っていった。
そこで、新たな出会いが待ち受けていることを、彼女達はまだ、誰も知らない。
アニメ風次回予告
新たな仲間の登場!?
果たしてサンテはどんな生物や魔物を仲間にするのか?
その姿は? 種族名は?
そして、どんな能力を持っているのか……
次回のイモ娘も、ほのぼのチェック!!
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