第17話 新人冒険者に対する先輩からの教育
通行人を番人が見ているだけの、簡単な検問を抜けて。
クヨフ一行とサンテは町へと到着した。
一行はそろって冒険者ギルドへと赴き、馬車の護衛を残してクヨフ、冒険者のリーダー、サンテの三人がギルドへと入っていった。
ギルドの建物は縦横に広い二階建てで、カナイ町のギルドよりも立派だった。
町に入ってから都会都会とはしゃいでいたサンテも、初めて見る大きさの建造物に声を失っていた。
今はクヨフに手を引かれて、ギルドの中を見てキョロキョロしながら歩いている。
「いらっしゃいませ、どのようなご要件でしょうか?」
受付嬢に話しかけられてクヨフが手を離したので、サンテはギルド内を歩き回る。
それを見ていた真紅のモヒカンの男が、大股でサンテに近寄っていく。
顔には入れ墨が彫ってあり、男の凶暴性を表しているかのようだ。
男はサンテの前に立つと、膝に手を置いて腰を曲げて話しかけた。
「いらっしゃいませ。当ギルドへのご用向き……お嬢ちゃん、ギルドに何のご用なのかな?」
話しかけてみたがサンテが理解していないのを察し、途中からかける言葉を変えた男。
よく見ると、彼の着ている服は受付嬢の物と似ているし。
顔の入れ墨は、生涯冒険者ギルド職員の文字が模様のように描かれている。
頭部だけ激しくチンピラ風だが、ここの職員らしい。
その証拠に誰も彼のことを気にしていない。
「私は新人冒険者サンテ、将来ビッグになる女よ!」
「そうですか、サンテさんは10級ですか」
モヒカン職員がサンテをどう扱うか考えていると、一人の女性冒険者から声がかかった。
「モヒカンさん、ちょっといいかしら?この子、私達で新人教育をしようと思うのだけれど。いいかしら?」
「夜光連星の皆さんがですか? ええ、構いませんよ」
「ありがとうございます」
「では、私はこれで。サンテさん、ではまた」
大人同士で話しが纏まり、モヒカンが去っていく。
「サンテで良かったよね? 私はの自己紹介もしたいから、あっちのテーブルまで行こ?」
「はい」
十代半ばを過ぎたあたりの少女に案内され、サンテは移動する。
サンテがイスについた段階で、冒険者リーダーに報酬を払い終えたクヨフが声をかけてきた。
「サンテちゃん、おっちゃん達はもう行くから。またどこかで会おうね」
「あっ、うん。またねー」
手を振りクヨフを見送ったあと、この場に案内してくれた少女冒険者を見る。
「みんな、この子はサンテちゃん。新人教育を担当する相手よ。サンテちゃん、私達はパーティー夜光連星。私はリーダーのリンよ、よろしくね」
(おおー! 大人だ。片目をパチッとつぶって、格好いいしきれー……)
夜光連星は全員ヒト族で20歳未満。
1級冒険者パーティーのナビルジーニヨに憧れる、6級冒険者の少女達だ。
リーダーは軽戦士のリン。
サブリーダーで軽戦士のメリー。
斥候弓兵のエイミーに魔法師のマチルダの、計四名で構成されている。
「それでね私達が5級に上がる条件の一つに、新人教育を複数こなせってのがあるの。だからサンテちゃんに冒険者のことを、タダで色々教えてあげるわ」
「おおーっ! ありがとうございます! すぐに教えてくれますか?」
リンが仲間の3人を見回して。
「ええ、いいわよ。まずは基本の、植物採取から始めましょうか」
「はいっ、よろしくお願いします!」
こうしてサンテの新人教育が始まった。
だが、心の平穏の終わりは、すぐそこに迫っていた。
クヨフを護衛していた冒険者達7人だけが、その事を理解していた。
彼等は消えた仲間の情報が集まるまで、交代でギルドに待機する予定だったので、運良くその場を見ることができた。
彼等は夜光連星に微笑みを浮かべていた。
常識は壊すものだと、教育されるのはどちらになるのか知っていたから……
一口メモ
ガイ 無性別
リビングブレイブアーマー(現在鉄製)
ロケットパンチ
シールドブーメラン
ツインベッドソードロケットパンチ(仮名)
サンダーコレダー
フライトチャージブレイド(仮名)
アイズレーザー
バーンシュート
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