睡眠してるだけなので
歩く屍
第1話 俺は寝ていただけなのに
「まだごはんじゃ……ないよ~、、、?。
て! ヤバイ!遅刻する!」
寝言まで言ってから時計を見て、遅刻しそうになりいつも通り焦っているのは
高校2年生で好きなことは睡眠なのだが、好きすぎてこの通り遅刻になりそうな状況になっている。
「急げ!急げ!ってカバンカバン!
あいつは……もう行ったのか?。
て、確認してる余裕もないな!」
就には妹がいるのだが、先に学校に行ってしまったようだ。
学校に行くために早く着替え、通学カバンをもって家を急いで出る。
(起こしてくれてもよかっただろ!)
~5分後~
「はぁ~あああああああああ」
だらしないでかいあくびをしながらも学校まで走る。
遅刻しそうなのにもかかわらず、時々気が緩み夢の中へ行きそうな具合には睡魔に襲われる。
だからいつも瞼を指で無理やりあげ、つり目になりながらも走って登校しているのだ。
「おーい!もうそろそろ就寝が突っ込んでくるから、扉開けとけ!」
クラスのみんながいつものように、遅刻しそうになる
「来たぞ!
教室に突っ込んだ後、友人の
「いい加減遅刻するな!馬鹿兄!」
すると就の妹こと、
「ぐは!、殺す気……か……妹…よ」
また寝てしまう
吹っ飛んだ俺に対し胸倉を眠が掴む。
「もっかい蹴りをお見舞いされたいのか!。
そのまま永眠させたろうか馬鹿兄!」
身の危険を感じ、シャキッとはしてないが起きて挨拶をとりあえずする。
「おは……よう、皆。あははは」
棒読みの笑いをしながら、挨拶を眠気に耐えながらする。
「おはようじゃないわよ!馬鹿兄が眠りながら突っ込んでくるのを止める私の身にもなってよ!」
怒られながらも、
「よくサバットをやってる眠の蹴りを、毎度受けて無事なことで」
席に着くと就に話しかけてくるのは、前の席であり友達の
「やられる度に耐久値が上がってんだよ、おかげで大きい怪我しなくなった。俺はもう一度寝るから、先生来たら起こしてくれ」
そう言うと、はいよと言って
授業も眠たくなりそうになり、うとうとしながらやり過ごす。
これがいつもの日常。
こんな日常が続けばいいのに、そんなことを当の本人が思っているが、
それは授業が終わり、昼休みになった時だった。
「窓側だから暖かくて気持ちいい。
絶対にこの時間は寝る」
妹のせいでなかなか授業の休み時間でも眠れなかった
爆睡してしまう時は寝言をよく言っているときが多いのだが、寝たい欲が勝ってしまう。
秒で寝てしまう就だが、この後から数々の問題が出てくることを予想できるはずもなかった。
〜就が寝てから15分後〜
「すいません、2年E組の矢野優佳(やの ゆうか)といいます。学校の書類を持ってきたのですが……」
彼女は
人の迷惑を考えられないほどその人に会いたいという気持ちは、恋愛をしたことがない今の
書類を渡しに行かないわけにもいかず、仕方がないので持っていくことにしたのだが……
(だれもいな………あっ!
1人寝てそうな人がいる。起こすの悪いけど伝言も頼まなきゃいけないし……気持ちよく寝てる所悪いけど起こさせてもらうね)
「あの〜、寝ているところすいません。書類を持ってきたんですけど、後で担任の先生に言っといてもらえませんか?」
声をかけ、揺らしても起きないと思っていたが
かすかに声が聞こえるのが分かり、起きていると思い耳を近づけ確認する。
「……お前が好きだ」
うつぶせになっていたので顔は確認できなかったが、耳元で聞こえたその声はとても格好よく聞こえ、しかも告白ととれる言葉だった。
「私は恋愛をしたことがないんです。
だからその……お友達からでよければ……」
いきなりされたこともない告白を真に受けてしまい、つい友達からならと
「う……ん〜」
返事が帰ってきて内心ドキドキしながらも、目的だった伝言を頼む。
「あの、先生が来たら書類のことを話しといてくれ……ますか?」
返事を待つ
「うん……」
うつ伏せのままだったが伝わっていると思いそのまま教室から退出しようとする。
「では、お願いします。
次は個人的に会いに来ていいですか?」
「分かった…よ」
了解を得たと認識し、珍しく笑顔になってニヤつきながら教室を出る。
「では、失礼しました。ふっふふん」
こんなにも告白されるのが嬉しいものなのかと、初めて心に熱さを感じる
しかし、矢野優佳は知らないだろう。
あれが全て就の寝言での返事であることを。
〜昼休みが終わる15分前〜
「……かにい!」
「馬鹿兄!、もうすぐ授業だから起きろ!」
「ふぁ〜ああああ」
就は長い背伸びしながら起きる。
「よく寝た。ごめんないつもいつも」
そう言って謝る。
「分かればいいのよ。それより馬鹿兄、また寝言言ってたよ。他の人が来たとき勘違いされるかもしれないんだから気を付けてよね」
(自分じゃあ寝言言ってるかどうかも分からないのにどうやって気をつけろと?)
だが就は今後気づくだろう、自分の寝言のせいで勘違いする者たちが存在することを。
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