鳥たちは

來住 偲

第1羽 止まり木


(こんなことやって何の意味いみがあるのだろう)


何時いつも思うことだった

退屈たいくつでどうしようもない授業という存在について

考える


この数式は社会で使うのだろうか

それとも意味の無いことを教えてるだけなのか

そんなこと社会に出たこともない私にはわからない


ただただ、淡々たんたんと授業を受け、成績を取り

どんなことにも熱くならず冷静れいせい

そんな日常を送る



はずなんだ




鳥華ちょうか 香澄かすみ


毎朝恒例、出席確認が行われる


「ハイ」


他の人も呼ばれていく


人と関わるのはとても苦手だ

暖かさを知ったら

離れられないだろうから

なら、最初から冷たい方が良い


 そんな私はあるとき

暖かさと出会ってしまった


「転校生の鷹見たかみ悠羽ゆうだほら、挨拶してくれ」


「鷹見 悠羽です よろしくお願いします」


さらさらの黒髪に、あおい目

女子から歓喜かんきの声が上がる

この教室は成績によって席を好きなところを選べる仕様だ

私は勉強しかしてなかったので一番なので窓際まどぎわの一番後ろを選んでいた

まあ、私の隣に来たい人なんていなくて

隣はいない


よくあるシチュエーションだ、

嫌われ者の隣に人気の転校生が来てしまう

そんなの現実であるわけが無いと思っていた

今までは


「えっと、まず鷹見たかみはあいてる席にいってもらうから」

鳥華ちょうかの隣だな」


これほどまでに先生を恨んだことはない

鷹見くん??はスタスタと歩いてくる


ああ、もう来ないでくれ


だが、先生の声が遠くに

「鳥華、鷹見に学校案内がっこうあんないをしてくれ」

と聞えたので

挨拶ぐらいはしとく

「鳥華ですよろしくお願いします」

鷹見はちらっとこちらを見やり

「ヨロシク」

と言う


はあ、私がしなくてもこの人の校内案内なんてやりたい人いっぱい居るだろうに

そしてホームルームが終わった

次の時間は数学だ

憂鬱ゆううつ


私は自分で思うなぜ自分はこんなにも嫌われる要素が満載まんさいなのか

放送委員なのでお昼は1人で食べられる

放送委員は不良が適当に入ることが多いので

すべて私が行っている。

今の説明でわかった人も居るかもしれないけど

この学校は存外不良が多い私も未だ絡まれたりする


あと、人数が少ないのに無駄むだに校舎が広い

だから数学の教室まででも結構あるのよね

皆急いで準備をして行くわ

そんなとき、、


「ねえ、チョウカさん、案内頼みたいんデスガ」


なんで私なのよ....貴方の周りには素敵な素敵なおじょうさん方がいるでしょう

「わかった、着いてきてくれればわかると思うから着いてきて」

「ん.....」


彼は頷きながら短く言葉を発した

後ろからの視線がとても痛いわ......。

「はぁ.....」


とため息を漏らした瞬間に後ろからの殺気さっきが強くなる

視線だけで(なんであんたなのよ!)と言われているのがわかる


もう嫌よこんなの

早く教室に着かないかしら




といっても時間と言うより

距離的きょりてきな問題でもう着くわけで

席は数学とクラスで違うのでこいつと隣になることはないでしょう

でも...あの殺気送ってきた子が隣なのよね

何もされないと良いけど








私は現在の状況に止まっていたい








私の止まり木は........。

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