第55話第一回公式イベント・二日目

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「はっ……はっ……」


足を止めるな、走れ。奴が……奴が来る! クソっ! なんだって俺なんだよ! 途中までは順調だった、それなのにどうして?!!


「クソっ! なんで?! 」


「いいから黙って走りょっ​──」


「ヒッ! 」


隣を走っていた奴の頭が鉄球のようなものでぶち抜かれて消えていった…………本当に勘弁してくれよ。


「ど、どこから狙ってきてやがる?! 」


「し、知らねぇよ! いいから早く逃げるぞ! 」


マップにジェノサイダーが短い間隔で表示され、居場所が分かりやすい為に狙おうとしたのが間違いだった。初日に三桁に上る数のプレイヤーの反応がジェノサイダーを追ってからマップに表示されなくなったのを確認し、すぐ様引き返して逃げたというのに…………間の悪い事にその後すぐに俺たちがマップに表示され、それに気付いたジェノサイダーがこっちに向かってきやがった!!


「ギャッ! 」

「ピギュッ!? 」

「っ?! 」


今も目の前で二人ほど頭と胸を撃ち抜かれて消えていった……なんでだ?! どうして見えないはずの俺たちを正確に狙える?! もうマップには表示されてないはずだぞ!!! そんなことを考えているうちにも、さらに鉄球が飛んできてすぐ側で爆発する。


「うおっ?! 」


飛んでくる鉄球の中には、今みたいに爆発したり内部から破裂して破片を周囲に拡散したり毒ガスを噴き出したりと、普通じゃないヤバいやつまで混じってやがる。仲間やなんとなしに一緒に逃げている連中と時に蛇行し、時に跳躍しながら、どこまで逃げれば安全圏なのかも分からないままとにかく走っていく。


「ガッ?! 」

「ぶぅっ!!」


また脱落者が出やがった! 脱落者が出るということは自身に鉄球が飛んでくる確率が上がっていくということ……既に十人も残ってねぇ! そんな愚痴を内心でしているうちに、とうとう自分に鉄球が飛んできやがった!!


「くっそぉ!! 」


気合いと根性を込めて、『刀術・王』スキルの《疾風旋刀》でもはや砲弾と言っていい鉄球を真っ二つに斬る!!


「っ?! へへっ! どうだ​──」


喜びのあまり一瞬気が緩んだせいだろうか? 気が付けば俺は『始まりの街』の広場に立っていた…………おそらく死んでしまったのだろう、もう一発鉄球が飛んできていたのか、それとも斬った後すぐに爆発したのか…………理由はわからないが。


「……ふざけんなよ」


最早俺は脱力しその場に蹲るしか無かった……見れば周りも似たような奴らが結構な割合で居やがる…………。


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「せいっ! 」


…………こんなものですかね? 初日はそれこそ何もせずとも入れ食い状態だったのですが……もう既に私を狙っていたプレイヤーの大半が引き返して逃げるんですよね。なぜでしょう? 原因はわかりませんが、あっちから来ないのならこっちから行くまでです。


「ハアっ! 」


マップに表示された逃げるプレイヤーに、『暗殺術』スキルの《マーキング》と、『投擲』スキルとの複合スキルである《狙撃》で補正した《流星》で超遠距離からプレイヤーを攻撃していきます。視認しないと発動しませんが便利ですね。


「おや? ……大分減りましたね? 」


たった今マップに表示されたこの付近に居るプレイヤーですが、大分その数を減らしてますね? まぁ、今日一日ずっと移動しながら逃げていくプレイヤー目掛けて超遠距離から攻撃し続けてましたからね。


「残りは……北に一パーティに、東に二パーティ……南西に三人程度ですか」


南西はもう放っておいて北東方面に向かいましょう。既に森林エリアは抜けていますし、このまま進めばいずれ秩序一位と混沌二位の方達とかち合うでしょう、最後に二、三発くらい爆発仕様の鉄球を投げておくぐらいですかね?


「せいっ! …………さて、行きましょう」


南西に最後の鉄球を投げ飛ばした後すぐ様走り出し、北と東に超遠距離攻撃をしながら北東方面に向かって駆け抜けます。


「カルマ値が高いからって強いとは限りませんが、楽しみではありますね。弱くても最悪ポイントと思えば許せますし」


さてさて、どんな方たちなのでしょうか? 秩序一位の方は名前的に少し不安ですけどね…………。


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