第47話√甲その3
ロノウェさんの纏う雰囲気がガラリと変わる、これは……どっかで見たことあるような気がしますね……。
「『身体強化・嵐海龍』」
同じ轍は踏むまいと妨害に鉄球や毒針を投岩スキルの《流星》や《彗星》で攻撃するが、全てを紙一重で躱される。
「『肉体活性・肉切骨断』」
ならばと接近し《爆炎四刃》で切りつけるが、同じくスキルを使われ迎撃される……あれですか? 変身途中に攻撃するなとでも?
「『ハイエンチャント・セイクリッドオーシャン』」
これ以上はさすがに危険過ぎます。彼は察するに騎士団長と違って聖職者でもあるのでしょう、毒での攻略ができません。
「ハァッ! 」
鉄球に火薬玉を仕込み、それをさらに投岩スキルで思いっ切りぶん投げ半ば砲弾のように飛ばしますが――――普通に拳打にて迎撃されましたね、もうここまで強化されているのですか…………。
「『宣誓・我は邪悪なる異端を狩る者』」
精一杯妨害しようと足掻きますが……無理そうですねこれは…………。
「『宣誓・我は敬虔なる信徒を導く者』」
全力の妨害も叶わず強化が完成されてしまいましたね………………。
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重要NPC
名前:ロノウェ・スペルディアLv.60《+25》
カルマ値:155《善》
クラス:嵐海拳士 セカンドクラス:武闘司祭 サードクラス:大海魔術師
状態:
宣誓:
備考
クレブスクルム最高司祭・長子
クレブスクルム信仰・副司祭
クレブスクルムの執行代理人
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「……今から貴様を俺の全力で以って屠る! 《リジェネ・ハイヒール》」
あっ! 汚い! 汚いですよこの人!! 普通こんな強い人が超絶強化の代償をほぼ無効化しますか? それでもマイナスから抜け出せていませんが、自然に解けたりするのを待ったりはできませんね…………毒も普通に解毒されるでしょうし、HPが減ってくれば自力で回復もするでしょう。 仕方ありません、こちらも全力全開で行きましょう──
「『身体強化・虐殺器官』」
「むっ?! 」
まだまだ行きますよ。
「『精神感応・魔統』」
ここで山田さんたちに強化を頼みます。
「『ハイエンチャント・グローリープロミネンス』『ハイエンチャント・ルインストーム』『ハイエンチャント・ダークネスアビス』『ハイエンチャント・ライトディヴォーション』」
「貴様!? いったいいくつの……?!! 」
《宣誓》スキル……なんでしょうか? はまだ取得方法が分かってないのでその分を付与と強化のゴリ押しで補います。
「『エンチャント・フィジカルパワー』『エンチャント・フィジカルバリア』『エンチャント・アクセラレータ』」
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種族:人間
名前:レーナLv.40《+15》
カルマ値:-201《極悪》
クラス:殲滅者 セカンドクラス:魔統師 サードクラス:凶薬師
状態:
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ここら辺が限界ですかね? 向こうが先に禁じ手を出してきたんですから別に構いませんよね?
「…………やはり貴様はここで殺さねばならん!!! 」
それまでいた地面を踏み割り、音すら置いて裂帛の気合いを持って突撃してくるロノウェさんを、こちらも文字通り目にも止まらぬスピードで迎え撃ちます。
「それほどの混沌に満ちた力……貴様いったい何人に地獄を見せた?!! 」
「……地獄? あるんですかね? 私は行ったことがないのでなんとも…………」
「貴様っ!? 」
死後の世界って本当にあるんでしょうか? 私は死んだことはないのでわかりません。確認が取れない事をなぜ聞くのか……ロノウェさんはどうしたというのでしょう? …………まぁ、個人的にはあるといいなとは思います……………………。
ロノウェさんの繰り出す正拳突きを大きく避ける。背後の森の一部を含めた周囲一帯を吹き飛ばすその一撃を凌ぎ、短刀の柄で伸びた肘を打つ。
「ぐぅっ! ……それほどの若さで、それほどの力と技を持っていてなぜ?!! 」
「……いや、知りませんけど」
合間にロノウェさんと問答を繰り広げながら、刹那の攻防が続く。相手の回し蹴りを屈んで避け、短刀を首へと突き込むが、顎を反らし躱しながら右のストレートを放ってくる。身体を半回転させながら、右手で手首を掴み左手を肘裏に添え、相手の勢いを利用し投げ飛ばします。
「ふんっ! 」
投げられながら空中で拳を突き込み見えない衝撃が襲ってくるので、すぐさま後方へ下がって回避しましょう。
「何故だ……お前はあの姉妹を助けた、根は善良なのではないのか? 何がお前をそこまで堕とした?! 」
再度突撃し、短刀による首を狙った横薙ぎの一撃を手首への左手による手刀で落とされ迎撃されたのを視認しながら、その左手を《紅蓮一渥》で握り潰して先ほどの問に答える。
「あの姉妹を助けたのはあなたたちが中々見つからなかったので仕方なくですし、子供たちの相手をしたのもあなたたちの警戒心を解くため仕方なくですよ? 」
「ぐぅっ?!! 」
そのまま握り潰した手首を支点に引き寄せ、水月に《風塵発勁》を放ち吹き飛ばします。
「ガァッ!! …………《エクスヒール》! それでも姉妹とは楽しくしていたではないか! なぜそんな所まで堕ちた?! 」
「そうですね──」
空中で体勢を整えそのまま相手が放ってきた……おそらくスキルによる踵落としを腕をクロスしながら横へ飛び避ける。…………地面に大穴が空きましたね。
「──強いて言うなら愉しそうだったからですかね? 」
鉄球を砲弾のように投擲しながら答える。
「そもそも自分の心に素直に従ったまでですから、何故とか聞かれても困るんですよ」
「……」
「そもそも『遊んで』いる最中に聞くことでもなくないですか? どうあれ私たちは殺し合ってるんですから」
本当にこの『遊び』に集中してほしいものです、さっきから色々疎かになっていますよ?
「…………もうよい、貴様を殺すことに躊躇いも罪悪感もない!! 」
やっと本気になってくれましたね? 私も嬉しいですよ。
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