第27話北の地下通路その2
「なるほどぉ〜」
ログインしてボスの間から先に進むことしばらく、どこからか海水が漏れていたらいずれ水没するのでは? いっそ怖いくらいリアルなこのゲームのことですからなにか原因があるのではと調べていたところ、海水が貯まるとあの蒼い水晶になるようです。
なので一番下層にあったボスの間はあれほど煌びやかだったと……。
「……はい、そうでございます」
ということをすれ違ったプレイヤーを脅し…………もとい質問して聞き出したところです。どうやら彼は検証班という人種らしいですね。
「どうして、ここにジェノサイダーが……いや、別におかしくはないけど…………」
「……なにか問題が? 」
「──っ! い、いえ! なんでもありません!! 」
なにやらブツブツと呟いていたので質問しただけなのですが変に畏まれてしまいましたね、というよりジェノサイダーってなんでしょう? 誰かと勘違いしてませんかね?
「……あのぉ? そろそろ解放してもらえは」
「便利なのでこのままついてきてください」
「あ、ハイ」
何やら色々詳しいようですからね、彼が調べてきたことをこの際ですから絞れるだけ絞りきってしまいましょう。
私は他のプレイヤーとの交流が全くないのでこういう機会は貴重ですよ。
▼▼▼▼▼▼▼
「それで今向かっている『ベルゼンストック市』についての情報は終わりです…………」
「なるほど、ありがとう存じます」
今目指している『ベルゼンストック市』は『始まりの街』側とは違い、港になる入り江がいくつもあり、それにより海路を使った交易が盛んで色んな品々が溢れる海運都市であるそうです。
それこそ世界中から様々な物品が集まり、それこそ人すら商品として扱われ、それが高じて奴隷都市でもあると言うことでした。
「奴隷が民の生活を支えてるんですねぇ……」
「えぇ、その通りです。荷物運びなどの力仕事や下水道の清掃などの必要だけども誰もやりたがらない仕事は全て奴隷にさせます」
奴隷はどうやら合法非合法問わないそうで、奴隷が主人に反抗するのは日常茶飯事だったそうですが、今の領主に代わってからは奴隷に対する締め付けがさらに強くなり、それまで保障されていた最低限の衣食住どころか命すら危うく、『死んでしまったのならまた持ってくればいいじゃない』という状況だそうです。
ですが奴隷という労働力を搾取しているおかげで一段と栄え、富裕層などの中流階級以上の民からの支持は厚いようです。
「……あの、ジェノサイダーさん」
「……それ、私のことなんですか? 」
さっきから誰のことかと思いましたらどうやら私のことみたいですね?
「え、知らないんですか? プレイヤーの間では有名人ですよ?! 」
「……そうなんですね、ですが私はジェノサイダーという名前ではありません」
なぜジェノサイダーなどと…………まぁ、大体察しはつきますがね、どう考えても街中でPKしまくったとかそんな理由でしょう。
「では、なんと呼べば……」
「私の名前はレーナですので、そう呼んでください」
「えっ?! じゃあ地下墳墓を初攻略したあのふざけたパーティー名の──」
「──舌と喉、どちらを切り裂かれたいですか? 」
なにやら聞き捨てならない暴言が聞こえたので口に短刀を突っ込み顔を近付け選択を迫ります。
「…………ふひぃまふぇんへしひゃ」
「……まぁ、いいでしょう」
今まで色々教えてくれてましたし、今回は見逃してあげましょう…………。
「ゲホッゲボ……こ、怖かった…………」
この人いちいち大袈裟ですね? 見てて面白いからいいですが毎回こんな感じなんですかね?
「……って、レーナ? どこかで聞いたことあるような? 」
「? 初攻略のパーティー名では? 」
「あ、いえそうではなくリアルで……」
「まぁ、そんな珍しい名前ではないですから気にすることないのでは? 」
「………………よく見ればレーナさんの顔もどこかで? (ぶつぶつ)」
なにやら考え込んで小声でブツブツ言ってますね…………まったく聞き取れませんが興味ないので放っておきましょう。
「それよりも早く先に進みますよ? 」
「あっ、待ってください! こんな奥で置いて行かれたら死んでしまいます! ちなみに僕の名前はユウです! 言ってませんでしたよね? 」
「そうですか、行きますよ」
慌てて後をついてくる彼を伴い先に進むことにします。
▼▼▼▼▼▼▼
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます