第8話地下墳墓探索その3

「それではよろしくお願いしますね? 」


『……(バッサバッサ)』


ということで、あの後さらにテイムしたファントムマントの麻布さんです。


====================


名前:麻布さん

種族:ファントムマントLv.9

状態:憑依

『浮遊Lv.3』『暗視Lv.3』『防具憑依Lv.4』『風魔術Lv.4』『闇魔術Lv.2』『魔術強化Lv.2』『精神状態異常無効Lv.-』

称号欄

レーナの従魔:レーナの従魔となった証。主人から受けるバフの効果が上昇


====================


麻布さんは初期装備の外套に憑依してもらっています。

彼には影山さんと同じ魔術による援護と後方警戒をお願いしています、これは頼りになりますね。


「賑やかになってきましたし、新しくサポートスキルでも取得しますか」


スキルポイントも余っていますし何がいいですかね? 暗視スキルは自力で取れそうですし山田さんたちが居るのでいいとして、できるならばみんなにバフが掛けられるものがいいですね? だとするとこれらが良さそうです。


《SPを3消費して新しく鼓舞スキルを獲得しました》

《SPを3消費して統率スキルを獲得しました》

《SPを3消費して指揮スキルを獲得しました》


『鼓舞』と『統率』はどちらも戦闘時にパーティを組んでる味方のステータスを上昇させるスキルで、『指揮』は声に出さずに従魔や召喚獣などに指示ができるスキルです。

どれも使い勝手が良さそうなスキルを選んで取得しました。

ついでに自力では難しい耐性スキルも取得しておきましょう。


《SPを5消費して物理耐性を獲得しました》

《SPを5消費して魔術耐性を獲得しました》

《SPを5消費して身体状態異常耐性を獲得しました》

《SPを5消費して精神状態異常耐性を獲得しました》


このくらいですかね、合計29SPの出費ですが必要経費です。このまま先を進みましょう。


▼▼▼▼▼▼▼


​──おや? しばらくモンスターを狩りながら進んでいたら足音が聞こえてきましたね? このエリアのモンスターはみな浮くか、ゾンビのように引き摺る音や逆に五月蝿い音を立てるので、どれにも当てはまりません。それにこの足音は人間かそれに近いものです……他プレイヤーでしょうか?

とりあえず警戒しながらなるべく気配や音を消して近づきましょう……。


「……」


どうやらすぐ近くにあった曲がり角の向こう側みたいですね、なになら話し声まで聞こえます。少し様子を見てプレイヤーの様ならば即殺しましょう。


▼▼▼▼▼▼▼


「クソっ! まだ腹の虫が収まらねぇ! 」


「落ち着けハンネス、今怒ったってしょうがないだろ? 」


「でもよ! なんなんだよアイツ! いきなりチュートリアルNPC殺すわ、PKしまくるわ、子供を盾にするわ、滅茶苦茶じゃねぇか!! 」


俺ことハンネス​──もちろんプレイヤーネーム​──が腹を立ててるのはつい1,2時間くらい前の出来事をまだ引きずってるからだ。

その俺の怒りの原因たるそいつはいきなり現れた、そこら中にいる初心者たちと変わらない装いで​──実際そうなんだろうが​​​──チュートリアルNPCに近づき、そのまま殺害した。


ベータ版からお世話になったNPCで、俺たちプレイヤーとなんら変わらない言動をするし相談にも乗ってくれる気さくなキャラだったから人気もあった。そりゃもう呆気に取られたさ。

でもそんな暇は無かった……間を置かずして、奴は今度は周りにいるプレイヤーをキルしまくりやがったもんだから、場は混乱の渦に叩き込まれた。


そんな中でも、場を収めささっと奴を捕縛か倒すかしようと動く奴もいた、俺もその1人だ。

1人のベータ版からの知り合いの犠牲でもって半包囲に持っていけた。これで終わりだと思った時から後は、もう怒涛の展開だった。


これでもゲームの腕には自信があったんだが、俺の斧は容易く躱され、その合間に短剣の投擲でヘッドショットを決められリスポーンしちまった。今思い出しても腸が煮えくり返る​──!!!!!


「私もあの人は酷いと思います……」


「だよな! ほらライン! チェリーもこう言ってんじゃねぇか、幼馴染みなんだろ? 自分が助けようとした子供と一緒に目の前でキルされてなんとも思わねぇのかよ? 」


「俺だって悔しかったさ、でも今言ったってしょうがないだろ? もうアイツは今どこいるのかわからないから攻略再開してるんだし」


「そりゃそうだがよ……」


「はいはい、そこまでよ。続きはここの攻略が終わってからね」


そういって仲裁するのは魔術師のエレノアだ。確かに今言ったってしょうがないし、こいつらの言う通りだ……でもエレノアだって鬼のような形相であれは山姥かと思っ​──俺は何も考えてない、考えてないからそんな目で見ないでくれ………………。


「当たり散らして悪かった、許してくれ……」


「いやいいさ、気持ちは痛いほどわかる」


「そうだぜ、俺なんて首を捻じ折られたんだ! アレはトラウマだぜ……」


「……私も自分の矢が子供に刺さった時、心臓止まるかと思った」


確かに槍使いのケリンも弓使いのミラも辛い思いしたよな、俺だけじゃない。

特にケリンは悲惨だったな……今も遠い目してるし……。


「みんな……そうだな! まずはこのエリアを初踏破してやろうぜ! そんで次は負けねぇ! 」


「そうね、次会った時は今度こそ​──」


「​──こんにちは、こんな所で不用心ですよ」


そうやって聞き慣れない女の声が聞こえたと思った時にはエレノアの首から短剣が生え、背後ではチェリーの首が落ちたところだった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る