第2話キャラメイク

『ようこそKSOへ! 』


そんな大文字と共に視界いっぱいに広がる真っ白な空間を見れば自分も現実の姿そのままですが、ここはキャラメイク空間だろうかと辺りを見回していると背後から声が掛けられます。


「ようこそ一条玲奈様、わたくし第25番サポートAIが貴女様のキャラメイクを支援致します、気軽にニコちゃんとお呼びください」


能面のできる秘書といった感じの美人さん通称“ニコちゃん ”が私のキャラメイクを手伝ってくれるようです。


「わかりましたニコちゃんさん」


「では早速キャラメイクに参りましょう。ここではプレイヤーネームとゲーム内での容姿の他に初期スキルを10個選べます。もちろん後から変更することはできませんのでご注意くださいませ」


「わかりました、では早速作っていきますね」


さて、会話が終わると同時に目の前に半透明の画面が出てくる。これを操作してキャラメイクしていくのですね。そうですね名前は……本名からとって『レーナ』で。少し安直かもですが、私にネーミングセンスがないことを自覚しているので冒険には出ませんよ。


次は種族ですか、色々ありますがここは無難に人間ですね。容姿はあんまり現実とかけ離れると動きづらそうですし、身長体型はこのままで、髪を肩につかない程度に短くして黒に白のメッシュを入れましょう。顔もセンスもないのに変に弄るよりも、そのまま現実のままで。どうせ私のリアルの知り合いにゲームをするような人は居ないので大丈夫でしょう。目の色をワインレッドに変えるくらいですか……。


後はスキルですね……うわっ、結構多いですね。私のプレイスタイルは大体決まってますが、それに合うスキルを探して組み合わせも考えてってなると少し時間掛かりそうですね、うーん​──


▼▼▼▼▼▼▼


​──よしっと、少し時間が掛かりましたが無事に終わりましたね。


「終わりました」


「よろしいですか? 他に質問などはございませんでしょうか?」


「はい大丈夫です。このままお願いします」


私が選んだスキルは『短剣術』『投擲』『歩行』『軽業』『調薬』『不意打ち』『テイム』『偽装』『看破』『交友』です。


「では最後にいくつか設定をしていただきます」


「? 設定ですか? 」


なにかまだあったのだろうか? それとも私が忘れていただけですかね?


「そう難しいものではありません、まずはセクシャルガードを…これはどこまでの範囲の人にどこまで触れる許可を出すかという​──」


「全部ブロックでお願いします」


「​──かしこまりました、次は描写規制設定です、これは相手を斬った時にゲーム的なエフェクトにするかそれともリアル準拠にするかという設定です」


「では完全リアル準拠でお願いします」


「では最後に痛覚制限ですが、これは別に少なくても大丈夫ですが現実の痛みに近いため、システムによって限界だと判断されたら強制ログアウトかリスポーンしますのでご心配なく。それでどうされ​──」


「それも制限無しでお願いします」


「……かしこまりました、首や心臓などの急所を狙われると現実と同じように即死してしまいますのでお気を付けを。これにて全ての設定すべき事柄は終了でございます、キャラデータを作成しますので少しばかりお待ちください」


さて、少しばかり手間が掛かりましたがようやくですね、楽しみです。


「……お待たせしました、これで全ての工程は完了です。このまま始めたいところですが、最後に一つ忠告と助言を」


「? なんですか? 」


「この世界はプレイヤーの行動次第でスキルを入手できたり世界に影響を与えることができます。プレイヤーと違い、その世界で確かに生きているNPCは死亡したら復活できませんので予めお気をつけください……」


「なるほどわかりました、気を付けます」


「……では貴女の冒険が心躍るものであることを祈っております…ようこそカルマ・ストーリー・オンラインへ!」


その言葉と共にニコちゃんさんは頭を下げ、私は視界を埋める白い光に飲み込まれました​──

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