光を求めて

有澤 風香

prologue

「愛していたの。私は愛していたの」



女は俺の目を見てそう答えた。



「後悔はしてないわ」



女の長い髪の毛が風に揺れる。



「本当に後悔はしてない」



女は、自分の足下に広がる暗闇を見つめた。



「最後に、お願いがあるの」



女は大切そうに指を握った。



「この前渡したものを、奴らに渡して」



女は暗闇から聞こえる濁流の音に耳をすませた。



「待ってて、今行くから」



女は音に引き込まれていった。

俺は暗闇に消える女を見守って、そこから立ち去った。


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