第7話 エピローグ
『おかえりなさいませ。赤い開くボタンを押してください』
意識が戻った俺の鼓膜に機械音声が響く。
俺は言われるがままに、右手付近にある、赤いボタンを押すと、エアーが抜ける音と共に、覆いかぶさっていた蓋が開く。
「よぉ、お帰り。彼女は救えたか?」
今回の過去改変を行うにあたり、装置を開発した
「えぇ、救えました。私の我儘に付き合って下さり、本当にありがとうございます」
不意に涙が零れてくる。これ以上は望んではいけないと分かってるんだが、どうしても、あの時の彼女の回答が聞けたらな。と思ってしまう。
「え!? ちょっと、なんで泣くんだ? 救えなかったのか? 俺に気を利かせて嘘なんかつかなくても――」
「いや、嘘はついてないんです。ただ、ちょっと気持ちの整理がつかないだけでして……」
「そっか。そうだよな……。で……、感傷に浸ってる中、本当に申し訳ないんだが、別室でお前さんに来客が来てるんだわ。ちょっと会ってくれないか?」
お客? 誰だ? 俺がここに来ることは西条や久遠には伝えてはいるが、わざわざお店まで来ることは無いだろうし……。仕事関係か? いや、でも仕事仲間にはここに来ることは伝えて無いしな……。
俺はそんなことを考えながら、機械から降りる。
誰が来たのか全く想像もつかないまま。
「失礼します、お待たせしました」
そう挨拶し、扉を開けた部屋の中には1人の女性が待っていた。
「遅かったね。彩は救えた?」
俺は来客である彼女のみてくれは知らない。だが、声は知っている。
「おかげさまで……」
「そっか、じゃないと困るけどな!」
俺はこの彼女の笑顔を知らない。だが、よく笑う女性なら知っている。
「それと……だな。あの時の回答を、まだしてなかったな、と思ってな……」
俺と彼女は初対面のはずだ。いきなりこんな事を言われると混乱しそうにらるが、ここまで言われれば流石に分かる。
「私も愛してます! だから……私と結婚してください!」
終
自己満足の過去改変 真下 @mashita
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