夏かし、ゆめウツつ
@shiz_non
閑話(1)
またね、絶対だよ。
約束したからね。
淡く、限りなく透明で、いつ消えてしまってもおかしくない記憶。
いや、事実忘れていたんだ。
忘れて、そして今も思い出せないでいるその約束は、その夏の思い出ごとどこかへ置き忘れてしまっていたにも関わらず、今になって朧気ながらも記憶の奥の底の底から微かな気泡となって心の中を揺らし始める。
約束という言葉だけが浮き上がり、感情を揺すっては波紋のように広がり、懐かしさと悲しさと、何かの焦りが感情を満たしていく。
やがてその感情は全身を蝕み、あの場所へと足を進めるまでに至った。
知らない方がいい、と自分の中の何かが警告する。
それでももう戻れない。
抗えないほどの強烈な好奇心と不思議な義務感は、赤信号をノーブレーキで突き進むかのように加速を手伝う。
約束、だからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます