第3話 パクったのは北欧神話?

 ここで北欧神話が題名に出てきたことに、困惑する人が大半だと思う。正直、なんでこんな題名にしたのか私も困惑している。

 ただ、ライオンキングというパワーワードを見た私は、瞬時に次のことを思ったのだ。これって、ライオンキングのあらすじのことを言っているのじゃないかと。

 ライオンキングのあらすじはこう。

 ジャングルを治めていた父親を殺された主人公が、敵を倒して新たなジャングルの王になる成長物語。

 この父親を殺された主人公が、敵を倒して父親の財産を取り戻すまでの話のあらすじをゆるパクしたと当事者の方は言っているんだなと私は思いました。

 といっても、こんなあらすじのお話、古今東西の神話やおとぎ話に山ほど出てくる。ゆるパクどころか、普通にお話の一つのパターンとして形式化すらしているものだ。

 それに転生近親相姦のお話を混ぜると、こんな感じになるのかな。


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 異世界に転生した主人公は、父親を殺されその父親が持っていた財産すらも敵に奪われてしまう。失意の中、同じく転生した姉妹と肉体関係を持った彼は、敵を倒して父の財産を奪い返す。


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 実のところ、これと似たようなお話が、北欧神話にあったりします。

 シグムンドのお話。

 このお話の主人公シグムンドの双子の妹シグニューがガウトランドの王シゲイルのもとに嫁ぐのですが、シグムンドと兄弟たちはそれを快く思っていなかったんです。結婚式の日に、シグムンドはある剣を神であるオーディンからもらい受けますが、その剣をくれといったシゲイルの申し出を断ってしまいます。

 これを不服と思ったシゲイルは、シグムンドの父ヴォルスンガとシグムンドの兄弟たちを殺してしまいます。

 一人生き残ったシグムントはシグニューとの間に生まれた息子シンフィトリと共に父の敵を討ち国を継ぐのですが、悲劇的な最後を迎えるというあらすじのお話。

 当事者の方がゆるパクられたと言っているお話は、こんな感じのあらすじのお話なんじゃないでしょうか。

 北欧神話に起源を求められるような、ありふれたあらすじのお話。世界中の御伽噺や神話にみられるであろう、普遍的なあらすじのお話。

 ゆるパクどころか、ちっともパクってなんかいません。誰もが思いつくし、誰もが読んだことがあるあらすじのお話です。

 私の推測が正しいとしたら、本当に疑いをかけられた書籍化作家さまは心の底からお気の毒としか言いようがありません。

 だって、パクリでも何でもない神話のあらすじを話に盛り込んだだけで、ライオンキングをパクってるなんて言われるんですよ。自分だったら怒ってます。

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