第19話笑顔

月曜日になり、休日を一人で満喫していた俺は少しめんどくさい気持ちを抱えながらも学校に向かう。

だが、憂鬱な気持ちは少なく神谷から解放され孤独な学校生活を送れるだろうと思い少し晴れやかな気持ちになる。


教室の中に入り自分の席の方を見ると神谷と目が合った。

そうして神谷はこちらに向かって笑顔で手を振ってくる。


あれれー、おかしいよー。幼児退行したわけでもないのに小学生探偵風に言ってしまう。


先週の神谷は俺が冷たく遠ざけたことにより落ち込んでいた。

そして休日を挟むことで考えを改めてくれると思っていた。

それにより俺と神谷の関係がなくなっていたはず。


なのになんでこっち向いて笑顔で手振ってきてるんですかね?

あれか、一週間フ〇ンズで記憶喪失?

俺と神谷友達じゃないんだけど。

それにしても都合よすぎだろ。

記憶消えてたら手振って……くるか、最初のあいつなら。


これ席着いたら話しかけられる?と不安に思う。

めちゃめちゃ関わりそうなんだけど、誰だよもうこれで終わりとか言ってたやつ。


神谷の行動が全く読めない。

だが、もう席に着かなければならない。

嫌々自分の席に座る。

なんで自分の席座るのが嫌々なんだろうか。


席に座ると神谷が話しかけてくると思っていたが神谷に話しかけてくる気配はなかった。

え、どういうこと?

今度はクールキャラ?

それなら笑顔向けないのか?

ほんとに全く神谷のしたいことがわかんないんだけど。


意味の分からない行動で元から抱いていた不信感に少しだけ恐怖も混じってきた。


それからというもの授業中や休み時間にこちらを見て笑顔を向けてきていたがなぜか話しかけてはこなかった。


そうして一日を終えたことで特に何もしてないはずなのにどっと疲れたように感じる。

神谷の考えがわからないからこその疲れである。

先週はうっとうしいほど絡んできていてウザかったが、今日はまた別のベクトルでウザい。

どうウザいかと言えば、話しかけずにどれだけ俺の意識をとれるか遊んでるような感じだ。


遊びと考えると先週のも何度かからかわれてるような気がしていた。

それらは神谷にとって遊びだったんじゃないだろうか。

つまり神谷は遊び方を変えただけってことか?


え、ってことはこれからも絡まれる?

俺の輝かしいぼっちライフは?


離れてくれると思っていたはずなのに結局は勘違いだったということで多大なショックを感じる。

まぁただの予想だったからね、誰もそんなこと言ってなかったしな。

会話しなくていいから前よりかは楽なはず。

でもどっか行けとも言えないから無抵抗にやられるってことだよな?


……はぁ、なんで俺が。

この疑問がわからなければこの関係を終わらすことができないんだろうな。

そう考えたが神谷に聞くことができないから疑問を解消できるわけではない。

神谷は俺を騙したわけだ。

今度もまた嘘をつき騙してくることだろう。

そんな奴を信用して話すなんてできない。


神谷の遊び道具になるしかないのかと考え、またため息が出る。


そうして数日が経った。

とうとう我慢の限界が来ていた。





神谷の我慢の限界が。

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