『小さいお話し』 その6
やましん(テンパー)
『い・じ・メ~~!』
《これは、フィクションです。》 🐑?????
ぼくのところにやってきた介護ロボは、ひつじ形態です。
かわいらしいが、なかなか、力持ちで、介護のお仕事以外でも、お家の修理、屋根の修理、配管まわりの修理くらいは、軽くやってしまいます。
食事の用意も買い物も、お掃除も、万全です。
防犯もできます。
完璧なんですが、たいへん困ったことがあります。
いじめを、するのです。
毎日ではありませんが、週に、にさんかい、くらい、そうした行為をします。
突然叫ぶのです。
『い・じ・め~~!』
すると、体内から小型のロボットがたくさん出て来て、ぼくに、いじめをするのです。
ぼくは、脳梗塞で下半身は動かず、左手だけ、すこしは動かせるくらいです。
で、小型の介護ロボの複製みたいなものが、いっぱい、たかってきます。
つかんだり、ひっぱったり、かんだり、針を刺し込んだり・・・・・
先日は、ついに、ベッドから転がり落とされてしまいました。
ロボがいなくなると、たちまち、生活が出来なくなるので、非常に悩みました。
最近は、介護ロボの需要が高く、来てほしくても、来てもらえない人が続出しています。
ぼくがいやなら、他に回されるだけです。
でも、さすがに頭に来たので、管理会社に、苦情を言いました。
さすがに、これは、通じたのです。
でも、これも、いじめの一環だったらしいのです。
次の日、回答が来ました。
『データを詳細に確認しましが、異常はなく、あなたが主張なさるような行為は確認できませんでした。』
もし、僕の体の確認を求めたら、介護ロボが行うに決まっています。
人間の医師を呼ぶことは、まあ、可能ですが、ものすごくお高いのです。
いつ来るかも、あまりはっきりは、しません。
お金持ちは、違いますよ。
まあ、人間のお医者様は、完璧に不足状態ですから、無理もありません。
テレビ診断も可能ですが、それも、ロボを通じてになります。
だめもとで、予診確認を求めました。
会社の医師が、後からまとめて、画像を見るだけです。
治療はできませんが、介護保険が効くので、ちょっと、お安いのです。
しかし、案の定、答えはこうでした。
『異常は認められませんでした。』
ぼくの身体は、きずだらけなのに?
介護ロボが、自分でデータを書き換えているということ以外は、考えられません。
ぼくには、知人もなく、来てくれる人は、まあ、いません。
奥様は、呼んでも、いつ来るか、お医者様以上によくわかりませんし、ロボが本当に、呼んでくれるかどうか、怪しいものです。
ためしてみましたが、やはり、来ません。
ぼくは、日に日に追いやらてしまいました。
『い・じ・め~~!』は、どんどんと、エスカレートしてゆきます。
回数も、多くなり、内容も、濃くなりました。
警察を呼ぶのも、ロボの仕事ですから、どうにもなりません。
まあ、地域警察も、民営化されたので、きょうび、無料ではありませんし。
凶悪事件や、政治がらみの事件などだけは、政府管轄の警察局が担当しますが、少数だけ。
もっとも、実力者やお金持ちは、これもまた、話しが、違うらしいのですけれど。
というわけで、ぼくは、瀕死の状態となり、意識もはっきりしなくなりました。
************ 🐑 🐑 🐑
ぼくは、病院で意識を回復しました。
たまたま、やっと尋ねてきた、別居中の奥様が、僕を発見したのです。
奥様は、襲ってきた介護ロボに、持っていた、最新の『ロボット痴漢撃退スプレー』を吹きかけました。
そんなものが、出来たとは、ぼくは知らなかったですけれどもね。
「どじ~~~~~! 連絡なんか、なかったわ。もっと、他にやり方が、あったでしょうに。ば~~~~か!」
とか、あいかあわらず、奥様に叱られましたが、助けてくれたことは、まあ、事実です。
会社は、いやいや調査をしたようです。
すると、その会社幹部に、かなりぼくに対して、心理的ストレスのある方がいて(ぼくの勤めていた会社の、もと上司でしたが・・・)、ぼくをいじめ対象と決めて、ロボにいじめをさせ、データの捏造を指示していたらしいです。
彼は、解雇され、会社側は謝罪し、和解金を支払いました。
それから、特別な高級総合病院で診てもらい、かなり、ぼくは良くなったのです。
やはり、お金の力は、すごいものです。
今は、その会社の紹介で、他の会社から、ぱんださんタイプの介護ロボが来てくれています。
いい、介護ロボです。
ただ、ちょっと機能が落ちて、少しドジですが、まあ、そのくらいが丁度よいのです。
************ 🐼 🐼 おしまい
『小さいお話し』 その6 やましん(テンパー) @yamashin-2
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