ハローワールド
龍樹
第1話 忌み嫌われし存在
「仕事の邪魔をするな!出てけ!」
「なんで貴方みたいな人が存在してるの?」
「この極悪人がっ!!」
「邪魔「ほんと消えて「こっち来るな!!」
「「「消えろよ!」」」
僕達の、いや、彼らの世界は突然姿を消した。
気付けば姿形がなく、光だけの存在。暖かな穏やかな大きな何かに包まれているようなそんな感じがした。
最初から最後まで、皆から罵声を浴び存在を否定され何の為に存在してるのか、生きているのか、わからないそんな記憶だけが残っているはずなのに。
生きている嬉しさがこみ上げてくるような、初めて味わう感覚だった。
「みんなには、ずっと嫌われ者で……」
声になるはずのものが無いのに意識から音が漏れ出る。
「どうして、僕なんかが……」
苦しみと悲しみが心をかき混ぜる。
「みんないなくなっちゃった…。僕だけ消えれば……」
皆を困らせ、邪魔をすることしか出来ない自分をただただ責め立てた。
『生まれ変わりたい、ですか?』
「!!!」
突然響く優しい声に、光が小さくなる。
『新たな生を貴方に授けます。皆を助けてあげて』
「……」
『どうしました?もう一度新たな世界で
「僕は!もう、あんなこと……」
自分のしてきた事に言葉が詰まる。事実は揺らがない。
「もう、邪魔は……したく、ないです…」
『貴方の行いは正しい事でした。認めてもらうには理解が必要不可欠です。他の世界の皆もそれを理解してくれる人がきっといるでしょう』
「そんなの、嘘だ……」
光が細々と消えかける。自らがその存在を否定しているかのように。
『そうですか。それでも、この運命は抗いようがないのです』
「そんな……」
『意思を強く、前へ進むのです。貴方はどの世界でも、必要なのですから』
光がかき消されるほどの眩い光が辺りを照らす。彼に選択権はなく、また同じ人、記憶として新たな世界へと背中を押し出される。
「もう、嫌だよ……」
そこに光は無かった。
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