壊レ狂ウ世界でマキナは哂ウ
天乃宇宙(アマノソラ)
第1話 全てをくれてやる。
暗い暗い闇が溢れる街に人気もなく動物の影さえ見当たらない暗闇に満ちた街に男が一人どこかへと逃げるように当てもなく走って駆けていく。
警察に追われている訳でもなく組の者に狙われている訳でもなく男はただ必死に後ろを振り返らず前のみを見て走り抜けひっそりとした裏路地にやってくると荒い息を整え額から流れ落ちる汗を腕で拭うと胸に忍ばせていた武器を確認し一服つこうと煙草に火をつけた瞬間…
男の背後に先ほどまでは感じ得なかったもう一つの気配を感じ振り向くとそこにはだいたい身長175㎝くらいの男が立っておりその男の片手には銃が握られていた。
「な、なんだよテメー!!いつからそこにいやがったんだ!
どうして俺に銃を向けてやがんだ!?」
「いつとかどうとかは今はどうだっていいお前は今日この場で死ぬからだ。
それと次に質問の件だが依頼主のチサトという女からお前を殺すように頼まれた。
俺とお前になんの関係もないがお前は終わりだ。
その命すべてで償え。」
次の瞬間、男の持つ銃が1発の弾丸を弾きだし煙草をくわえていた男の
一件から戻ってきた場所は蛍光灯の光が差す薄汚れたアパートの一室で部屋の鍵は不用心にも開けっ放しであったがそこに住む二人には関係がなく。
男が戻ったことをパソコンのモニター越しに気が付いたもう一人の男は足元に置かれた自分専用と書かれた冷蔵庫の中からビールを取り出し一言おつかれさんと言いながら投げ渡した。
「んで、
なぁ~教えろって俺はここでずっと依頼の受け取りとかやってて割と退屈なんだぞ??」
「いつものようにだ眉間を狙って引いて終わりだ。
暗殺は単純な作業だ重労働してる人のほうがよっぽど複雑だぞ。
久嘉は拓海の悪い癖が始まったと逃げるかのように依頼をもう一軒こなすというと本来なら深夜帯にできる依頼には限りがあるのだが時間が短くでき特別な依頼が来ていると携帯へマップが送信されると久嘉は当たってみると言ってアパートを後にし拓海はとある場所へ連絡を入れ始めた。
拓海から送られてきたマップは最近建設されたばかりのテクノロジーグループの研究施設で目覚ましい発展とその世界の基準も塗り替えるほどの技術力に世界が目をつけるほどの研究所でもあったのだがあまりにも人が少なすぎる。深夜帯ということもあってか警備が予想以上にいなかったものの不要な面倒が起こらずこれはこれでと研究所内へと侵入し拓海からさらに送られてきたメールでの指示で依頼者であり内通者と待ち合わせる場所を記した研究室Aにやってくると依頼者と同じ名前のメグと書かれたエンブレムをぶら下げた女が入ってきた久嘉に近づいてきた。
「え、えっと…依頼者のメグですあなたがその…暗殺者の方ですか?」
「そんな風にストレートな言い方をされたのは初めてだ。
で、その…誰を殺せばいいんだ?」
久嘉は依頼者と接触すると内部の情報を聞きだしたところ…監視カメラはすでにメグによって切られており内部研究員も自分とターゲットであるチーフの二人だけだと伝え歩いているとメグはチーフの白衣が見えたと指差しここからは別行動と言って久嘉は独自の歩みで白衣のチーフを追って歩いていくとそのターゲットは地下の研究室に入っていき足を止めると後ろからメグが現れた。
「ん?どうしてメグがここに?別行動といっただろ?」
「あんまり驚かないんですね。
いいえ今はそんなことを話してる場合じゃないですね今さっきチーフが入っていった部屋は通り抜けができない密室だから狙うなら今がチャンスかもしれませんよ。
急かすつもりはないのですが…その頑張ってください。」
今まで息をするかのようにして暗殺をしてきた中で一度たりともこんな風に応援されたこともなかった久嘉は必ずチーフを追い詰め消すと約束すると再び独自の歩みで注意を払い研究室の中へ入ると中は暗く明るいものはといえば培養液のようなものがボコボコと音を立て光るポッドがいくつかあり中をのぞくと人の姿をしたものが現れると同時に研究室の扉が自動で閉じライトがバンと音を立ててあたり一面を照らした。
「くッ、抜かったか…だがこのくらいの扉ならコレで何とかなる。」
「無駄なことはやめたまえ久嘉君。」
久嘉は厳重に閉じて開かない扉に対し銃でこじ開けようと数発撃ちこむも意味をなさず声のするほうへゆっくりと振り向くとそこにはテクノロジーグループの創始者でよくテレビにも出ている人物が目に映ったと同時にその隣には先ほどまでいた人物の姿もあった。
「どういうことだ?どうして依頼者がそのチーフとかいうターゲットの隣に立っているんだ??」
「ごめんなさい…私はこの命令に背くわけにはいかなくて…この人の命令を無視すれば私の家族が殺されちゃう!!だから本当にごめんなさい…」
「と、いうわけだ。残念なのだが君はここで久嘉君よりも先に退場してもらおうか。
そのあとでじっくり話してあげるから久嘉君はそこで待ってなさい。」
そう言うと男は白衣から銃を取り出し躊躇なくメグを撃ち抜き殺害すると銃を捨て何事もなかったかのように久嘉を見つめ本題に入った。
「君にここへ来てもらったのには他でもない君のその脳内にしまわれた発達に発達した殺人スキルが本当に素晴らしく思ってご招待したのだよ。」
「招待?まさか…アイツが俺を?」
久嘉はアパートを出る前のことを思い出した。
今日はやけに拓海が真剣な表情をしていたことや酔っていなかったことを考えると初めから久嘉をここへ誘導するために仕組まれていたことを導き出し久嘉は拓海の名を出し何をしたのかと問うと男は拓海の妹の手術代を全額出すという姑息な手を使っていた事実が発覚し拓海の中で妹と久嘉とで天秤にかけた結果だと納得し久嘉はしょうがないと言って銃を頭に突き立て動揺し止めろと吠える男に欲しけりゃ全部くれてやると笑って引き金を引いた………
引き金を引いて床に崩れ落ちるまでにいろいろな出来事が頭の中を駆け巡った。
子供の頃、喧嘩の際に複数人を相手に素手で重体になるまで殴り警察に保護されたこと中学時代にはナイフを持った高校生のカツアゲに財布を取りだすしぐさに見せてカッターで胸を刺したこと。
本当に壮絶な人生の部分部分が走馬灯のように巡りに巡りもうこれで終わった。誰かのために死ねたのならば本望と笑みを浮かべて最後の暗闇を体が通過するとそこは水の中だった。
「ごぶふぁッごふぉッッ!!?なんふぁ!?ヴぉうなっふぇんふぁ!!?」
「凍結保存体ナンバー001:マキナウス…起動プロトコル第1フェーズ完了。
コレヨリ第2フェーズヘ移行スル|栄養重液≪エーテル≫ヲ注水シ※成!×▽・・エラー年式5235年ノ外的調査及ビ装備点検フェーズヘト移行ス…ル」
覚めるはずも感じることもない感覚から突然目覚めたと思えば甘い液体の海の中で意識が覚醒した。
水が注水され外に出られたのはいいものの部屋の中は薄暗くライトはバチバチと火花を散らして宙ぶらりんとしていることや床をめくりあげて植物の根が飛び出して見えることから想像もしないほどの年月が経っていると目視で確認すると体のバランスがやけに取りづらいと体中をあちこち触るととんでもない事実が浮上した。
男の勲章であるはずのモノがある部分に存在せずスースーするということや胸がやや重いと感じさらには声もいつもより透き通っているようでこれはまるで女の体だと不敵に笑い自分を確認できるものがないか部屋中を探し床に落ちていたガラス片を手に取り自身の体をゆっくりと見下げていくと嫌な予感は的中し目覚めた自分は紛れもない女になっていた。
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