お仕立て ウエディングドレス その5

タンタンタン


キャベツを切る。


他の具材と一緒に鍋にいれる。


かまどを開けると、熱が顔に当たった。


鍋を入れて、かまどを閉めると、台所にある椅子に座り込んだ。


窓の外を見ると空は夕日が雲に当たりピンク色のように見える。




朝からの結婚式の予定は、教会が半壊してしまったため、あのままお開きになった。


あのあとはカイさんの部下だという騎士団の方々が教会の中にいた人を誘導し、教会から離れたところまで避難した。


なんでも教会の倒木は、故意に起こされたことらしい。故意に起こされたって言うのは騎士団の方々のお話から。


カイさんは騎士団の小隊しか来てないから、と残ってしまい、お姉ちゃんは私とリトに託された。


(お姉ちゃん、悲しいだろうな…)


結婚式が壊されたんだから、相当ショックだろうからと、今は休んでもらってる。


(私もドレス作り直しか…)


ぐーっと延びた。


教会は半壊したけど、幸いにも人には被害がなかった。カイさん、さすが騎士団の魔法スペシャリスト。


とっさの判断で、みんなを守る傘みたいなの作ってくれたみたい。ガラスだけではなく、木もそのまま人のところに倒れてきそうだったけど、お陰でみんな無事。


守ってくれたレースみたいなドームができてたのは魔法だって話してた。




チリンチリン


玄関の呼び鈴がなった。


「リト、悪いけど出てもらえる?」


扉から顔をだし、呼び掛けると歩く足音がした。リトが頼まれてくれたのを耳で確認し、かまどを開ける。


鍋を取り出し、中のスープのでき具合を見た。うん、大丈夫そう。


「リゼ姉、カイさんがリム姉の様子を見に来てくれたんだけど…」


「こんばんは、上がらせてもらったよ。」


台所の入り口に二人がきた。


「カイさん、教会の方は大丈夫でしたか?」


「さっき騎士団の他のメンバーもきたから大丈夫だよ。俺はリムも心配だし、先に上がらせてもらったんだ。


リムの部屋、お邪魔していいかな?」


確かに騎士団の制服だった。


私はカイさんの言葉を受けて頷いてみせる。


「カイさん、婚約者じゃないですか。大丈夫ですよ。それにお姉ちゃんもカイさん来てもらった方が、安心できると思います。


あ、食事ができたので、お姉ちゃん食べるか聞いてきてもらっても良いですか?あとカイさんもよかったらどうですか?」


「それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ。」


諸々のお願いしちゃう私の言葉にもカイさん嫌な顔ひとつせず、笑顔を返してくれるとお姉ちゃんの部屋に向かっていった。


「あ!そういえば!」


私はいい忘れてあわてて台所の扉から身を出す。


「カイさん、教会で守ってくれてありがとうございました。ちゃんとお礼言えてなかったから…」


カイさんは少し振り返り、軽く首を振った。




「さてと、リトはご飯のお手伝いして。


結婚式で出すつもりだったからーって商店街のおばさんからこれもらったから切りたいし」


私はリトに向き直ると、台所の真ん中にでーん!と鎮座する、もらった生ハム原木を受け渡した。


うむ、テーブルの方が小さいかも。


というか、やっぱり大きすぎない、この生ハム。


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