ガルヴァッサ帝国・婚活物語
Rooy
001 男爵家長男の婚活事情
ガルヴァッサ帝国、ソルダージャ家長男、ルドルフ・ウォル・ソルダージャ。
これが僕の名前だ。
僕の兄弟は、姉一人に妹一人。
幸いにして、僕自身がソルダージャ家を継げる長男なのは良かった。
貴族家長男にとって、何が大事だと思う?
それは、家を維持する事。
政変によって、今まで仰いでた野党が与党に変わったりすることもある。
僕のような男爵家では、政変によって平民落ちする事も珍しくない。
常に上位層の状況を読みつつ、風見鶏のようにのらりくらりと立場を変える事だ。
だってさ、異世界夢物語の日本という国の市という領土しかないガルヴァッサ帝国ですよ。
貴族家はガルヴァッサ帝国で700もあるんだよ?
有力貴族は、そんな男爵家や伯爵家さえ携え、徒党を組んでいる。
700もある貴族家の細かな1家が潰れたって、上位貴族である公爵家や侯爵家なんて気にもしないだろう。
正直貴族階級に入るのの、平民民会階級である、商人や鍛冶職人、地主が羨ましい。
下手な事をしなければ、この領地は維持できるであろう。しかし、時を読めなければ破滅であるのが男爵家だ。
さて家を繋ぐために大事なもの。
間違いなく婚活だ。幸いにして、姉は某子爵の長男と結婚し、妹は某男爵家の次期当主と婚約を結んでいる。
僕の身分である男爵位男性にとって、平民以上に結婚が難しいと考えている。
だって、平民の諸君は「好きだ!」、「私も大好き!」で結婚してるのだもの。
ちなみに男爵家長男である僕が、格上の子爵家のお嬢さんとお見合いした場合。
「ふーん、ソルダージャ男爵家のご長男、30歳なのね。主な産業は農業で、男爵家収支は約1億セロニー(異世界日本500万)とか、私に声にかけるんじゃありません事よ!」
いや、本当にこんな事を言われるのです。
そりゃ、王城に勤める宮廷騎士と同じ年収かもしれないよ?
しかも僕の年収から、領地の産業活性の為に、支出しないといけないわけで・・・。
正直言えば、宮廷騎士のが自由になる金はありあまってるだろう!
そんな男爵家長男である僕には、様々なお見合からNO!と言われている。。。。
まじで、僕と同等?である同じ国にいる700もある男爵家の諸君、どうやって結婚してるのだ!と尋ねたい。。。
たまたま仲良い領地の男爵家長男に話を聞いてみた。
え、領地を弾ませて、とある伯爵家との取引を増大させた。ふむふむ。
それで、自領地が潰れると伯爵家の財政まで潰れるよう持っていき、伯爵家のお嬢さんと結婚しただと?
いや、君の手柄は尊敬するが・・・・。
6女の平民母の娘さんをお嫁にした。
貴族マナーは無いのに等しいが、ラブラブ人生を送ってるだと!?
平民母と共にかわいいお嬢さんを迎えた、友達男爵はハッピー。
次位を継ぐ、異母兄さんとも関係良好?あ、そっすか。一応血縁だから次期当主であるお兄義様との関係も良好であり、今後の発展を望む友人。
羨ましいぞ!、あんな美人なお嬢さんを・・・、間違えた。僕の婚活が大事だ。
今日も婚活日和である。
とある伯爵家の奥様経由の出会い。
お相手は某伯爵家当主の妹様。ご年齢40歳。
事前情報を収集し、お嬢さんの興味ある話題を集めて好感もてるよう対策ねったさ。
そしてお見合いと言われるお茶会が終わり1週間後。
「うーん、ルドルフ君は若いのだけど、この度は縁がなかったわ」
そう答える、伯爵家のお嬢さんと紹介してくれたヘルダーシュ伯爵夫人。
このままでは引き下がれないので、手紙やら何やらで事情を聴いてみた。
「あまり成長のありそうなご領地でないので。収入少なそうだし。それと見た目が好みじゃないから」
ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁと思いつつも、伯爵夫人を通してお礼のコメント。僕のソルダージャ男爵家と今回のお見合いを紹介してくださったヘルダーシュ家と関係を悪くさせるんじゃねーYOと悪態をつく。
お忙しいお時間を使っていただきありがとう。
40歳シャルトッテ様の仰るとおり、僕には手の届かないお相手でした。素晴らしい方とのご結婚をお祈り申し上げます。
いや、マジでひどくね。面食いさんとは聞いてた。たしかに、シャルトッテさん美人だよ!
僕の見た目も普通以下かもしれん。それでも、伯爵家の夫人経由のお見合なのだから、断り方あるだろう!!!と・・・・。
僕自身の自由になるお金1億セロニー(異国日本でいる500万)しかないさ。
下手したら、豪商よりすくないかもしれん。僕自身は、領地を継続するよう、子供を産める女性を希望してるんだぁぁぁぁぁぁと声を出して言いたい。
でも、同年齢の女性にはモテマセン。
その後の婚活も、「え、ソルダージャ男爵家?知らないわ」その一言でお見合いを断れる事が多数。
年上の優し気な方とお見合いしても、「うーん、性格や見た目が好みでは無いわ」と断れる。
もうあきらめて、旦那さんと死別した平民宿屋のウォルニーさん(30歳)を口説いてみようかなと考えてしまう。いや、彼女を奥さんとしても、貴族社会のアレコレで揉めそうなのだけどさ。
両親も僕の婚活をあきらめてる模様。
いやさ、1億セロニー(年収500万)ってそれなりよ?でも、領地が発展しなさそうな辺境であるのも事実だ。そんな中に、同等の男爵家のお嬢さん方は見てくれない。
同ランクの男爵家のご令嬢が、公爵家(年収1億)にアピールするのってどうなのさ。
ヘンター侯爵家の次期当主が結婚するとの噂になったとき、様々なご令嬢が涙したという。
イケメンだし、収入いいやつなのだけどなー。
でも政変があった最、旗頭とされ、ヤバイ状況になるのが特権階級の人々だ。
目先の利益で、アピールする人々多すぎるだろうと思う年収500万男爵家長男の意見だ。同ランクのお嬢さん方には見向きもされない寂しい男のコメントだ。というか、涙した女性方、皆もて遊ばれたんじゃないの?と疑問に思ったが声には出さない。
もう次世代に次ぐの無理だろう。
子爵家に嫁いだ姉が、いずれ産むであろう次男を引き取るしかないかと思ってたその頃。
僕の隣の領地は他国である。
その国との関係が最近では、著しく悪くなってくるこのころ。
そりゃ、僕の領地は農業が中心で、砦位しかない領地だ。
戦略的価値は・・・。
うん、意外と戦争面で言えば砦を多数抱える僕の領地は価値あるかもしれないことに気づく。
そんな中、以前お世話になったヘルダーシュ伯爵夫人からお見合い希望の連絡を頂いた。
お相手は、某侯爵家の3女ソシエッタ嬢(15歳)との事。
え、自分の半分の年の子とお見合するの?そういうお手紙を送ると、ヘルダーシュ夫人から、とにかく1回あって欲しいと強制された。
「初めまして、ルドルフ様」
初めて会ったソシエッタ嬢は満面の笑みで、ドレスの裾をもってカーテーシーする年若い天使。
今まで会ってきた一目合わしてつまらなそうな表情をするご令嬢方と大違いであった。
「ようこそ、いらっしゃいました。さぁ、お掛けになって」
たどたどしくも精一杯おもてなしをしてくれたソシエッタ嬢。僕は、一目会った自身の半分以下の年の令嬢に一目ぼれした。彼女のような安らかな人と結婚したいと切なく思う。
ソシエッタ嬢とのお見合い(お茶会)は、僕の中で過去最高であった事は言うまでもない。
僕の婚活状況の報告は、これにて終了する。
何故かって?ソシエッタ嬢に気に入ってもらうよう頑張るからだよ。
こんな手紙を書いてる暇があるのであれば、ソシエッタ嬢が何を喜ぶのか、色々考えたいものさ。
Fin
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