斬の二【石礫】

前口上

 風が吹く吹く、樹冠が揺れる。


 瓦屋根までカタカタ揺れる。


 メシより酒だと、ガタガタぬかすなこのヘボ亭主。



 ベベン!



 おまえさん、まだ陽が高いわよ!


 うっせいやい! とっとと洗濯物をしまいやがれぇ、このババア!



 ベベン!



 ところ変わりましてぇ、川の水面みなもが秋空の日射しで鮮やかぁーにキラキラキラキラかがやく村のはずれ。そこへ、一迅の風がスゥー……っと、抜けました頃ぉ!



 ペン、ペン、ペン、ペン、ペン、ペン、ペン、ペン………………



 そいつに抗ってやって来ますのは、やっぱりこの男! いよっ、裸の男前!



 ベベン、ベン!



 誰が呼んだかぁ……あ? あっしじゃないんスよ、ヘヘヘッ。



 テケテン、ポロロン……



 人呼んで魔剣士、その名は斬喰郎! この世の魑魅魍魎どもをすべて滅多斬りにして、あっ、みせやしょー!



 ベベン、ベン、ベン、ベン!




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