【3】魂の転落 10首
魂の転落
雲と雲と雲と雲との戦乱のまっただなかに電信柱
一日は毎日あるが去り際の太陽が照らし出す雲の群れ
風景を見てるつもりの女生徒と風景であるオレの目が合う
ほとんどの家に入れずほとんどの人にはオレがただのよそもの
君らのはケンソンだろうオレの場合ほんとにダメなんだよ近寄るな
体型のことを言われてひっこめる腹のそれほどでもない動き
鏡には日毎に老いてゆくオレを見つめる目やにのついているオレ
ぼくは衣車、汽車なんだぞー! と駆けてきた子供がオレにぶつかって泣く
「魂の転落」とでも題すべき雲を含んで空暮れてゆく
見とれてた空もいよいよ暗くなり妖しいものの立つ気配する
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