工藤吉生歌集【300首】

工藤吉生(くどうよしお)

【1】 眠り男 10首

眠り男






問題に取り組むよりも問題を忘れることで生きのびてきた




欲望が背中で床を這ってきてこちらのオレをがっかりさせる




CGで作った顔は病的だしかし上手にサッカーをする




少年が繰り返す「イブ」みずからの名前を一人称にしていた




3個入りプリンを一人で食べきった強い気持ちが叶えた夢だ




出てきてはいけないものが出てくると思えばやはり出る夢の中




つぶやいている場合だが重要なことをしている場合ではない




夕焼けの赤紫っぽい方を日付の変わるころにとりだす




つかのまのドサクサがありあのひとと乾杯のカチンを交わせない




寝るほどに疲れるようだ 起き上がりぼんやりとしてもう一度寝る



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