グリムリーパーガールズ

ざわふみ

第1話 四大死神

 ――死神。それは死の象徴であり、死を司る神である。普通、死神と聞くと生き物の命を奪う悪い神を想像する。

 しかし、死を与えられた生き物の悪い魂を冥府へ送る神でもあり、必ずしも悪い神というわけではない。


 悪い魂はブラックソウルと呼ばれ、人間の魂を食べることにより、食べられた人間もブラックソウルに変えてしまう力がある。

 見た目は人間だが、全体が影で顔などはない。もやがかかったような姿になり、たまに凶暴化し人間じゃない姿になることもある。


 ブラックソウルが増えるのを防ぐために、この世界には死神が4人いる。4人の死神はそれぞれ火、水、雷、地の力を持つ。

 その死神たちは黒いマントに大鎌を持ち骸骨のような姿…ではなく、黒い服にそれぞれの色が入った黒いスカートを履いている。


「おいみんな。こんな所でお茶飲んでていいのか?」

 と言いつつ、お茶をすすっているのは、四大死神のリーダーで火を操る死神のモエである。

 モエは赤髪のポニーテールで黒服、黒いスカートには赤色の線が入っている。


「ま、待って。もうちょっとで本を読み終わりそうなの」

 少し弱々しく答えたのは水を操る死神のレルである。

 レルは長めのおかっぱの青髪で黒服、黒いスカートには青色の線が入っている。双子の姉である。


「ねえレル、どんな本読んでるの?面白いの?面白かったらあたしにも読ませて!」

 レルに話しかけたのは雷を操る死神のチルである。

 チルは金髪のショートヘアーで黒服、黒いスカートには黄色の線が入っている。双子の妹である。


「まあそんなに急ぐ必要はないだろう。ゆっくり準備したらいい」

 一番落ち着いているのは地を操る死神のリアである。

 リアは肩にかかる長さの茶髪のツインテールで黒服、黒いスカートには茶色の線が入っている。

 いつもリアとレルが作戦を考えている。


 4人は和室のちゃぶ台が置いてある畳の上に座っている。

 ちゃぶ台の上にはお茶が入った湯呑みが4人分置いてあった。


 4人がたわいもない話をしていると、誰かが襖を開けて入ってきた。


「毎回思うんだけど、ここってなんで和室なの?」


 部屋に入ってきたのは、白いスーツを着て背中に羽が生えた金髪の大天使ミレーヌだった。

 大天使ミレーヌは天使たちをまとめる天使で、一番偉い天使である。


 天使はブラックソウル以外の魂を天国まで送るという仕事がある。


 大天使ミレーヌは、毎回モエたち4人の所にブラックソウルの情報を送っている。


「ミ、ミレーヌ様。どうされたんですか?」


 レルが驚きつつ聞いた。


「ブ、ラ、ッ、ク、ソ、ウ、ルッ、出たわよ!またよろしくねー!」


 そう言うとミレーヌは、ブラックソウルの情報が書かれた紙をちゃぶ台の上に置いた。


「頑張ってねー。じゃあねー!」


 ミレーヌはそのまま襖を閉じると行ってしまった。


「毎回風のようだな」

 リアがお茶を飲みながらしみじみ言った。


「あいつはいつも軽いな。ブラックソウルを鎮めるのはうちらなのに!」

 モエは少し怒り気味だ。


「ダメだよモエちゃん、あいつなんて言ったら」

 レルは読みかけの本を置いてモエをなだめた。


「今日はどんなやつかなー?」

 チルは情報が書いてある紙を取り、読み上げた。


「えーっと…一体目はレルとチルが担当だって。やったねレル!一緒だよ!」


 チルはレルにハイタッチした。レルは後ろに倒れそうだったがなんとか耐えた。


「二体目はモエとリアが担当だって。お互い頑張ろうね!」


 そう言うとチルはモエたちに向かってピースをした。


「君もだぞ、チル君」

「そうだね、あははっ」


 モエたち4人はブラックソウルを鎮める準備をすると、それぞれの場所に出発した。

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