第87話

 なんかいろんな事情が絡み合ってるけど

 何だっていい。

 どうだっていい。


 大 事なのはココさんが俺を好きだって言ってくれたこと。

 俺と恋したいって言ってくれたこと。





 ココさんがクスクス笑いだした。


「なんで笑うの?」


「だって、リツとキスする日が来るなんて!」


「なんだよソレ」


「なんか……不思議」


 ふふふと、また笑う。

 でも、ちょっと目が潤んでる。


「笑うな」


 笑う割には甘いキスするじゃねーか。





 ココさんの寝室はとてもいい香りがした。


 キングサイズのベッドに照明、サイドテーブル。

 たったそれだけの部屋。


「このベッドに入った男は何人目?」


「失礼ね! 初めてよ」


「ほんとに? ココさんに言い寄る男は多いでしょ?」


「みんな酔っぱらいだからね」


「アオイさんだって、ココさんイイって言ってたし」


「ほんと?! アオイさんならいいかなー」


「おいっ! 浮気は許さないからね」


「何言ってるの? アナタが浮気の相手なのに」


「俺は旦那さんから認められてるの。公認でしょ?」


「何ソレ」


 またクスクス笑ってる。

 シーツにくるまるココさんを抱きしめる。


「どこが一番気持ちいい?」


「ヤダ、教えない」


 俺はココさんをくすぐって、キスして、両手を頭の上にあげて両手首を掴んだ。


「んっ、なに?」


 そのままシャツで手首を縛る。


「調査」


 おもむろに脇の下をナメる。


「ヤダ、くすぐったい!」


 身をよじるココさんに股がって押さえ込み

 全身に舌を這わせる。

 俺ナシでは生きていけないカラダにしてやる。




「やっ……やめっ……はっ……」




 よし、だいたい分かった。

 シャツをほどくと、ココさんの反撃が始まった。


「リツ、ひどい!」


「でも気持ちよかったでしょ?」


 ココさんは俺の上に股がってキスした。


 首筋から胸へ


 少しずつ


 どんどん下へ降りていく──



 ココさんは思った通り、温かくて柔らかくて


 こんなに満たされたのは初めてだった。


 俺が今までしてきたのって、何だったんだろ?


 ジョン・レノンがベッドから降りなくなった気持ちが分かる気がする。

 俺はもう、ココさんナシでは生きていけない。





◆◆◆◆☆☆☆☆☆◆◆◆◆◆☆☆☆☆





 お店を開ける時間が近づいて、今日は休みにしない?って言ったら、大事なお客様が来るから開けるって。誰が来るんだ?



 お店が少し混み合ってきた頃


「あっ、来た来た」


「お疲れ様」


「結構お客さん入ってるね」


「そうよー、繁盛してるんだから」


 なんかまた若いイケメン達と仲良く話してる。あれ?もしかして……


「長男と次男よ」


 昨日に引き続き、俺はココさんの息子達と飲み明かした。

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