一暼

君が僕に眼差しを向ける

ほんの一瞬

その唇を微かに綻ばせて


お願いだ

僕に気がないのなら

これ以上、そんな風に僕を見ないで



君は、僕の心の奥に気づいているのだろうか?

それとも、そんなことにはこれっぽっちも気づいていないのか


眩しいほどの瞳

その瞳を向けられる度に、僕の胸は狂うほどに掻き毟られる

この痛みを知っているならば

君はあまりにも残酷な犯罪者だ


君の眼差しが

その微笑が

すいと僕から逸れていく

時間にすれば、一秒にも満たない

その瞬間を、僕はいつもただ死ぬほど待ち焦がれて



ねえ

僕は耐えてきた

今の今まで

君が僕を選ぶことは決してないと、理解しているつもりだったから


けれど

君は知らないだろう

限界は不意にやってくるものだと

だって、僕自身驚いてる


もう我慢はしない


君のせいだ

君が、そんなにも甘い微笑を僕へ見せつけるから



あと一度

君が僕に微笑んだなら

僕は君を手に入れる

どんなことをしてでも



決めるのは、君だよ

さあ、もう一度

その眼差しを僕に向けて

あの微笑みを甘く投げかけて



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