新しい世界それは、懐かしいところ
狩野千裕
第0歩「終わり。そして始まり。」
「付き合ってください。」
何でそんなことを言ったのか、今ではよくわからない。
そのころの俺は、狂っていた。
「恋は、盲目。」そうだ、俺はわかっていたはずなのに、恋とは、時に幸せであり、時に残酷だ。
案の定告白は、だめだった。当たり前か、俺なんか好きになるやつがおかしい。
フラらて以来、俺は引きこもっていた。
「俺なんかが、恋愛とか・・・。」
コンコン
「恭介?いい加減でできてよ。」
いつまで引きこもってるのよ・・みんな心配してるのに・・・ん?
コンコン
「恭介?入るよ?」
そうだ・・俺の部屋には、鍵がなかった。
ガチャ
「何だよ。」
「久しぶり・・恭介・・・」
何も変わらない。あのときから。
「意外と変わらないんだね・・」
俺は、すこし赤くなっていた三崎の頬にきずかなかった。
「そうだな、風呂も入ってるし、髪だって切ってる。」
「引きこもりのくせに意外と几帳面なんだね。」
反論できない・・
「なぁ・・姉ちゃん・・」
「なに?」
少し声が高くなった、何がそんなにうれしいなか。
「俺のことどう思う・・?」
え、なにそれ・・?まさか・・きずいかれた・・?
「なに・・?急に」
三崎は笑った。照れ隠しで、笑った。また俺は、きずかなかった。
「ただ、どう思ってるのか・・聞きたいだけ・・俺はフラれた・・それから何も言わずに引きこもり、迷惑かけてばっか。こんな俺を姉ちゃんが、どう思ってるかしりたい。」
何を、言っている?俺には頭がないのか・・そんなこと聞いて悲しまないわけがない。
「正直に言って・・・クズ・・ゴミ・・・・・なんて思ってると思った?そんな訳ないじゃん。家族だよ?心配してるんだよ?」
そっか・・俺、勘違いしてた・・・いや、忘れていた。
『生きるものの前には、必ず道がある』ってことを。
「ねぇ、姉ちゃん。」
「なに?」
もう一度、もう一度だけ、
「歩き始めたいんだ。姉ちゃんがよければ、手伝ってくれない?」
「喜んで!」
声のトーンがまた上がった。そこでようやくきずいたけど、俺が、引きこもり脱出することに喜んでいるのでと、思った。
この鈍感さは、作者の私でさえ想像できないほどになるとかならないとか。
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