エルフな私と勇者様

眠れる森の猫

第1話 悪魔の箱庭

 私の名前は、山本やまとも明日香あすか


 高校二年生。趣味は、ケーキの食べ歩きかな。わたし、ケーキーを愛しているんだ。どれぐらいって言われると困っちゃうな。そうね、食べるのに夢中になると、もう何も見えなくなってしまうの。だって、幸せになっちゃうだもん。決して、貴方の事を無視したわけではないのよ。本当にごめんなさい。わたしを許してください。


 学校の帰り道、友人の絵里えりと一緒に、


「明日香、今日は弟のみつる君と一緒じゃないの?」

「知らない、あいつの顔なんて、見たくないし、だってこれ見てよ」

「何そのエロゲー?」

「私の誕生日プレゼント……あの馬鹿、私に男がいないからって乙女ゲー(18禁版)はないでしょ。ほんと喧嘩売ってるとしか思えない、もちろん、殴ってやった」

「ありゃま、それどうするの?」

「捨てようかと」

「あはは」


 その時――、絵里のスマホから着信音が鳴った、スマホを覗いた絵里は慌てて、


「ああ、ごめんね、明日香、わたしは、ここで、また明日ね」


 絵里は、急いでどこかに行ってしまった。きっと彼氏からの電話だったんだ。ううっ、独り身は寂しいなぁ。いつか私にも、白馬に乗った素敵な王子様が……現れるといいなぁ。


「さてと、このエロゲーはどうしよっか、ちょうどいいところにゴミ箱が、えいっと……うん?」


 たしか、ここは土管が三本置いてあった、ただの空き地だったよね。知らないうちに、ゲームセンターが建ってるんだけど、おかしいなぁ。立てられた大きな看板を覗いてみると、天使の箱庭と書かれていた。


「どうしてなんだろう、すごく気になる」


 私は何かに吸い寄せられるように、このゲームセンターに踏み込んだ。この選択が間違いだった。私は、のちに後悔することになる。ここは悪魔の箱庭だった。

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