最終話「カーテンコール③……社会人組」

『お疲れ様でした〜』

 私と日和の言葉が重なると、4人の空間に笑いが起こる。

「やっぱり双子で恋人だと本当に通じ合うものだね」

 そう言って夜宵はため息をついた。これで、正真正銘私達の物語は終わりなのだ。次の物語が始まるのを、私達には止められない。

「悲観的になる事でもないじゃないですか。死ぬわけじゃなしに……」

 そう明季さんは言うが、目にはうっすらと涙が溜まっている。人一倍感情が大きそうな彼女の事だ。一番悲観的に思っているかもしれない。

「まあ、プライバシーが露見しない分、もっと濃い絡みが出来るかもしれないよ」

 日和はニヤニヤとしながらそう皆に向けてつぶやく。それは、誘っているとみていいのだろうか。だとしたら、それは確かに役得だ。

「よし、今後の話がまとまったところで、カーテンコールといきましょう!」

 私達はその言葉で列を成す。これが最後のカーテンコールだ。

「84日、私達の話は今日まで紡がれてきました。その全てが、残り続けましょう」

 恥じらいとともに、日和が言う。その数字に、私の胸が踊る。

「ですが、これで本当に最後です。後日譚もその幕を閉じ、次の人達に繋ぐときです」

 夜宵が誇らしく、そして穏やかな面持ちで繋ぐ。

「いつかまた会えたなら、その時もきっと、幸せな姿を見せましょう」

 明季が今までで一番の笑みをたたえて続ける。

「さようなら、また逢う日まで」

 私が、最後の幕を、あっさりと、しっかりと降ろした。

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