VS 大盗賊(?)アイオーン!②
異世界での初ドロー!
楽しみにしていたそれは、無慈悲にもアイオーンにハンデスされた!
怒る最強デュエリスト!
その初ターンが進行する!!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(レイド効果っていうのは、なにかに誘発されて発動する効果ってことか)
つまり、僕がドローしたことで、条件を満たして、ハンデス効果が発動した。
それなら僕の手札にも、レイド効果を持つカードがある!
「僕はカードを1枚伏せ―――」
「なら、《盗賊の偵察者》のスタンド効果だ!いまお前の伏せたカードをオープンするぜえ!」
僕が伏せたユニット、《森の放浪者》がオープンされた。
しまった。表で場にあったのに、アイオーンのカード効果を見ていなかった。
(スタンド効果っていうのは、表で場にあるときに発動できるみたいだな)
いまの効果を受けて、僕は少し冷静さを取り戻した。
焦ってプレイしたことを悔やむ。しかし、狙い通りではないけど、これで《森の放浪者》のレイドが発動できる!
《森の放浪者》のレイドは、表になったとき、相手のユニットに1ダメージを与える。
見るに、防御っぽい値が1と表示されているアイオーンの《盗賊の偵察者》か《森の
《森の放浪者》がナイフを構える。
「残念だったなあ!この効果で表になったカードのレイドは発動できねぇ!」
《森の放浪者》は動きを止めた。
―――読まれている。僕の作戦が。
確かに、ハンデスに対して冷静さを失ったのもある。
しかしそれでも、レイドとスタンド、そのどちらをも巧みに操り、アドバンテージを確保するアイオーンを、僕は改めて只者ではないと感じた。
「さすが、自分で大盗賊なんて言うだけのことはあるな」
「いまさら俺サマの強さに気付いても、もう遅いぜえ」
少し本気で感心したのだけど、アイオーンは油断などするものかよと、目を鋭くする。
「効果を発動した《盗賊の偵察者》は、そのコストでATKを-1するぜ」
その声とともに、攻撃力を表していたらしい値が、1から0へと変わる。
察するに、伏せをオープンする効果も、無限に発動できるわけではないらしい。
やはりアイオーンは、口も行いも悪いようだが、ルールの上で、正々堂々と戦っている。
ならば、僕のやることはひとつじゃないか―――
まったく、なにをしているんだ、僕は。
ルール通りにプレイする相手に怒るのは、お門違いだ。
アイオーンの作戦は認める。現に僕は、不利な状況になりつつある。
だけど、こんな戦況は、現実世界のカードバトルでも、なんどもひっくり返してきたんだ。
僕はさらに、アイオーンの上をいくまで―――!
僕は残りの手札に手を伸ばす。
「さらにカードを1枚伏せ、そして手札から《森を守る者》を召喚!」
僕の場にはこれで、《森の放浪者 1/1》と、《森を守る者 1/1》が並び、さらに伏せが1枚。
アイオーンの場には、《盗賊の偵察者 0/1》と《森の
効果では
怯むことなく攻めるべき状況だと直感した。
アイオーンのプレイを見て、その後追いをするだけでは、対応が後手に回ってしまう。
いまはリスクがあっても、チャレンジするべきだ。
ここまでの感触としては、現実世界にも似たようなルールのゲームはある。
さらに、さっきのターンの終わり際、確かにアイオーンは言っていた。「先攻は攻撃できない」と。
それならきっと、こういうルールに違いない!
大丈夫、僕なら、できる―――!
「僕のユニットたちで攻撃―――!」
その声と共に、《森を守る者》は《盗賊の偵察者》を一方的に屠り、《森の放浪者》は《森の
よし、やっぱりATKとDEFの理解はあっている。
思った通りの状況になった。
「僕のターンは、これで終了だ」
(基本ルールの把握。第二条件もクリアした―――)
ひとつひとつ、勝ちに向けて、手探りで僕は進む。
「ヒャハハ!それで攻撃したつもりかよ」
だけど、その緩やかな前進を、アイオーンは嘲笑う。
「見せてやるぜ。大盗賊デッキの本当の攻撃力をなあ!」
その言葉の通り、僕は次のアイオーンのターンで、恐ろしいユニットを見ることになった―――!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
■用語説明
①レイド効果
-カード効果の、発揮種別の1つ
-条件を満たす行動に誘発して、裏から表になって発動する
-基本的には何度も使えず、効果が強め
②スタンド効果
-カード効果の、発揮種別の1つ
-場に表であるときに発動する
-何度も使えることが多い反面、効果が弱め
③攻撃力と防御力
-ATKとDEFともいう
-攻撃力が0で防御力が1の場合、0/1のように表す
ATK1でDEF1のユニットに攻撃すると、倒して墓地に送ることができる
④アドバンテージ
-有利になること
-相手のユニットを倒したりして、ゲームの有利さの差を広げていく
⑤コスト
-なにかを使うときに必要な代償のこと
-効果を使うために、攻撃力を下げる、などのコストがある
-ランチのために、お金を払う、のようなもの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます