ウソつきゲス野郎の俺、ソプラノハゲヒゲ太郎。異世界転生のループから抜け出せない。

今井雄大

第0話 プロローグ

 やっと魔王ゼノンのところまでやってきた。

 この世界を牛耳ろうとしている魔王。俺はそれを阻止するために、この世界に転生されたはずだ。

「行くぞ、魔王ゼノン!」

 禍々しいデザインの城の最上階。そこに不釣り合いなソプラノボイスが響き渡る。しかし、これが俺の地声なのだから仕方がない。

 俺は手のひらを魔王に向ける。そして、極大吹雪嵐魔法エクサブリザードを無詠唱で繰り出した。

 魔王が吹雪の魔法で怯んだところを俺は見逃さなかった。すかさず聖剣で斬りかかる。一撃目をあわやというところで避けられてしまったが、俺はそのまま回転すると再び間髪入れずに斬りつける。

 魔王ゼノンの左腕に聖剣が食い込んだ瞬間だった。

 目の前が真っ白になった。まるで、魔王の体から光が吹き出して、魔王ゼノンも俺も、そして巨大で禍々しい魔王の城でさえも包み込んだように思えた。

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