みによむ・桃太郎鬼を飼う

山岡咲美

第1話「桃太郎鬼を飼う」

 昔々あるところに桃太郎と言う青年がおりました。

………「イヤもうみんな知ってんだろ?」

「だから桃から産まれたとか、犬とか猿とか雉とか、鬼退治とかどうでもいい!」

鬼ノ城きのじょうの鬼、温羅うらが目に矢をられようが、桃太郎のモデル、吉備津彦命きびつひこのみことたかになって温羅を追おうが温羅がこいになって逃げようがとなった吉備津彦命に退治されようが知ったことか!!」

それよりも今大切なのは

「桃太郎腹へった!」

「腹へった!腹へった!腹へった!!」

(チッ)もう来たか

「解ってんだよチビ!今、めし炊いてんだろ大人しく待ってろ!」

ここは吉備津彦神社、オレ、桃太郎の住みかでチビってのが

「腹へったの…」(泣)

(チッ)しょうがねーな

「ほら、コレでも食ってろ」

「わーい、キビダンゴー!」

で、チビってのがオレが倒した温羅の娘で鬼の子………だ?

「おいチビ!何故一気に口に入れた、咽に詰まったらどうすんだ!」

「わはっぱ」

(こいつ全然解ってない)

「チビこっち来い、髪クシャクシャじゃないか」

「わぱっぱ」

オレは口の中もごもごさせてるチビを座らせ何時いつもものように三つ編みを二つ編み上げ肩から下ろした、チビの髪は硬くはあったがこうべを垂れた稲穂のような金髪でオレのお気に入りだった、ちっちゃく白い二本のつのほかの奴等は怖がっていたけど鬼退治の専門家からすれば笑えるほどのサイズだ。

「しかし背、またデカくなってないか?」

「デカく無い!ちびデカく無い、まだ176センチメートル、ちびちっちゃいよ!」

確かに鬼の5歳児としては小さい方だったがオレは知っている、176センチメートルとはオレの身長と同じであり、明らかにチビはオレよりデカイ!コイツ10センチはサバを読んでいやがる。

「あっ!ご飯出来たかも!」

チビはそう言うとバタバタと釜のほうへ逃げ去った、オレは考える、チビは人との違いを気にしてるのだろうか?それとも…

「ちびデカク無い、デカイのって聞いた」

チビはわざわざ戻ってオレに念を押した

これはオレ桃太郎と鬼の娘チビの物語だ。



この物語はフィクションです実在の桃太郎、鬼、時代考証とは一切関係ありません。

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