シチュエーション大喜利
@masaimasa
第1話 とんでもない転校生がやって来た。どんな奴?
「やっぱり女は黒髪が1番魅力的だよな!吾郎」
友人の声でめをさます。
「概ね賛成だけど、その為だけに起こさないでくれ。昨日夜遅くまでゲームしてたから眠いんだ。」
僕の名前は田口 吾郎、平凡な街の、平凡な高校で、平凡な生徒をしている。声をかけて友人の名前は 明智 六郎
吾郎と六郎で名前が近い事が理由で仲良くなった次第だ。
今日も今日とて僕らは何も無い一日を退屈に生きていた。
「そう言えば、今日は転校生が来るって噂だぜ。」
六郎はいつも耳が早い。どこから情報を仕入れているんだろうか。しかも、誤った情報はほとんどないし。
「そうなんだ、美人だったらいいな。」
「俺は乳がでかけりゃそれでいいぜ!」
女は髪が魅力的だという先程の意見はもう、忘れたらしい。ニワトリの親戚かなにかだろうか。
そうこう話しているうちにガラガラと音を立てて、教師が入ってきた。
「転校生を紹介します。」
神経質そうな顔をした、我らが担任は頭をピカピカと光らせながら言った。
「美髪 メグルさんです、入ってきて下さい。」
皆が大注目する中彼女は教室の前側のドアをスライドさせて入室してきた。
途端に生徒たちは大歓声、それもそのはず彼女は芸能人に負けないくらい美しい女性だったのです。
整った目鼻立ちに、モデルのようにスラリとした体躯、気品を感じさせる佇まい。美しさのバーゲンセールにあって、特に目を引くのは彼女の髪だ。腰の辺りまで伸ばされた長髪はまさに烏の濡れ羽色と表現せざるを得ない。近くで覗き込めばこちらの顔が写りそうなほど綺麗だった。(僕は1番前の席なのでわかったのだが。めちゃくちゃいい匂いもした)
「初めまして、御手洗 メグルです。父の仕事の都合でこの学校に転校して来ました。仲良くしてください。」
マーベラス!彼女は声まで美しい!神様ありがとう!
「趣味とか好きな教科とか話してみてくれないかな?」
担任のおっさんのか細くて、汚い声がする。引っ込んでいて欲しいものだ。
「では、趣味の話でも良いですか?」
どうぞどうぞ。
「どうぞどうぞ。」
担任と僕の心の声が重なってしまった。
「私の趣味はグルシャンです。」
ぐるしゃん?
クラスのみんなの頭の上にはてなマークが浮かんでいるかのように見えた。僕の頭にも着いていることだろう。
「すみません、分からなかったですか。グルシャンとはグルメシャンプーの略称です。」
教室中に異様な雰囲気が充満する。
まだピンとこないが、とてつもなく嫌な予感がする。
皆そんなふうに考えているようだ。
「意味はシャンプーをグルメするという意味です。文字通りシャンプーを飲むんです。」
「「「「へ、へんたいだー!!!!!!」」」」
みんなが口を揃えていた。
お口あんぐりである。かく言う僕もあんぐり。
「心外です。ただ私は推しの使っているシャンプーをコレクションして、味わっているだけです。」
それを世間では変態と呼ぶんだ。
「皆さんも好きな人や、憧れている人と同じアクセサリーや服を身につけるでしょう?
同じことだと思うのですが。」
すました顔で事も無げに彼女は言い放つ。
「健康に悪すぎでしょ!?」
いいこと言うじゃないか、六郎。その通りだ。
「心配はありません。飲み込みはしませんし。食後はしっかりとうがいをします。」
そういう問題では無いと思う。
「自己紹介は以上でいいですか?先生」
「だ、大丈夫だ...」
あの神経質オヤジが珍しくもたじろいでいる。
「どこに座ればいいですか?」
「1番前の席の右から3番目、田口の横に座ってくれ。」
「え!?」
思わず声が出てしまった。
「なんだ?不満か?」
「いえ!問題ないです。」
カミングアウト前なら驚きではなく感激だっただろうに。
「これからよろしくね、田口くん」
そういう彼女はやっぱり美しい。
驚きの趣味さえなければ。どこにも欠点のない美少女なのだが。
「よろしく、田口 五郎です。」
「あ!」
美髪が思いついたかのように声をあげる。
「先生!シャンプーはメ○ットに変えるといいと思います。毛髪の育成に効果があるそうです。」
彼女の欠点にデリカシーのなさも付け加えておこう...
シチュエーション大喜利 @masaimasa
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