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第67話 記憶はこぼれ落ちても
記憶がこぼれ落ちてることはわかってる
気づいてるよ
でもどうにもならないでしょ？
むしろもっとこぼれて欲しいんだ
僕を苦しめる記憶なんていらないから
楽しい記憶も
いつか
僕を苦しめることになるかもしれないし
無理に覚えてなくていいんだ
覚えていたくないんだ
記憶がこぼれ落ちても
困ったこともないし
むしろ好都合だったりして
だからこれでいいんだ
さらさらと砂時計のように落ちて
消えて
ありがとう
そしてさようなら
僕の記憶たち
君たちがいなくても
僕は形成（けいせい）されていくよ
君たちを積み重ねて
君たちを忘れても
練（ね）り込まれて
僕は熟成（じゅくせい）されていくんだ
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