第46話 陽和を守る。

外国では、バレンタインは

男から告ると聞いた。

花だったり、プレゼントだったり、

今からネットで注文しても

間に合わない。


大仏部長の旦那の務めるデパートは、まずいよな。

陽和は部長に知れるの嫌がるし・・・。

かといってライバルデパートのは、

もっとまずい。品物はパス。


花・・・?この間のは病院に持って

行かれたからな?花もパス。

ん・・・?そんな事を考えていたら

副社長室は花や、チョコ、ぬいぐるみ、時計色々な物が例年通り

積み重ねられて行く。


〃あーあー‼ホントにハロウィンの

すぐ前にバレンタインが

あればいいのにと思ってしまう。〃


施設に寄付できるし

そうこうしてるウチにやはり

日本人のしきたりで

ホワイトデーに希望をかける。


陽和がチョコをくれないなら、

貰いに行くまでだと、

思いついた。


ピカーンあたまのなかの

100wのマメ電球が光る。

明るーい。

急に元気がでてきた。


5時、病院の第一駐車場で陽和を待つ。

やはり白いモフモフのコートを来て

でてきた。


慶一道は、陽和ー、陽和ーと叫ぶ。

一度パッと振り返った陽和は、

ツ━━ンとして、通り過ぎた。



慶一道は駆け足で

近寄り陽和に歌いながら聞いた。


「♪♪今日は何の日♪ふっふ〜」

シラー


バス停が近くなり慶一道は

イライラしながら

「まだ怒ってるのか?

モデル契約は打ち切ったし

もう会わない、CM取りのためだった し、好きだと言う感情も無いんだ

よ。

分かれよ。」


フルッと振り返り

「ヘエ〜だから?何?」


「ん・・・何って言われても・・・。」


「あんたなんか、何かあっても私を守 らないあんたは、ジオンを守ったじ ゃない。

ジオンに何かあったら許さないんで

しょ。

私は私を守ってくれる人がいいの

っ‼」プィッ


きやあああああああああ

道が凍って滑りやすかった。

くるっと滑り混んだ陽和を慶一道が

かばい、そんなに段差は無い所に

転げ落ちた。


キキキ━━━━━━━ッ

一台のバイクが慶一道の倒れた

瞬間ぶつかってきた。


ギヤ━━━━━━━━━━━━━━━ッ

陽和の悲鳴があがる。

アタフタしてるうちに慶一道の

頭から血が流れ落ちてきた。

雪に赤く染み込むように、


「携、携帯、き、救急車〃」


慌てて取り出すが119が回らない。

そばにいた若い男性が慌てて

救急車を呼んでいる。

病院はすぐそこ、すぐそこ、

すると彼はまた病院に電話して

病院の救急車が入ってきた。


慶一道、慶一道、しっかりして、

お願い、お願い。



「あ、ああ、ひ、陽和・・・な、泣くな

けが・・・は、無い・・・か?

・・・お前を守れたのか?。



陽和は泣きながらウンウンと頷いた。

そっ・・・か

お前を守ってやれるんだ・・・ぞ

俺だ・・って・・・」


そう言うと意識がなくなった。

陽和は慌てて母親に電話した。

病院には母親と慶一道の両親が、

揃った。

バイクの少年も軽い怪我ですんだ。

悪気はない事を陽和が証言した。


慶一道の怪我は

陽和が転びそうになり、

彼がかばってくれたのだと。


集中治療室に運び込まれた

慶一道はまだ目を開けない。

陽和はずっと付き添った。


「神様、浮気ばっかりしていますが

私の大事な人なんです。助けて下さい。」


1時間してから慶一道の両親と

大仏部長が呼ばれた。


「バイクも当たった程はなく、

かすったくらい ですね、

倒れた時頭をうったようですが

3針縫っています。

血は頭はよくでるんですよ、ハハハ

寝てるのは睡眠不足もあるんです

よ。

他は異常ありません。

まあ、1日2日寝とけば治ります

よ。」


「よかった。

社長、申し訳ありません。

奥様なんと言って良いか、娘

のために 、副社長に怪我させ

てしまっ て・・・」


大仏恋子は慶一道の両親現社長に

頭を下げた。

社長は強ばった顔をして恋子を見た。

「しかし慶一道の事は君に任せていた のにどうしてこうなったんだい?

君が間を取り持った・・・とか?

慶一道との婚姻を狙っていたのか?」


「え、まさか、そんな

いいえ、何となく副社長を家の近く

で 見た気がしましたが、まさ

か・・・娘と会っていたなんて、」

と恋子は必死に弁明した。


「で、どうするの?大仏さん、」

慶一道の母親、雅楽代瞳 は恋子に聞いた。

黒く丸い瞳に、キリッとした口元、

美人だが確りとしている。

同年代だが、頭の切れる女性だ。


「はい、責任を取って、辞職します。娘には諦めるように伝えます。

副社長が、無事だっただけでもあり がた いとおもいます。」


社長は慶一道そっくりな顔をして、

「君にはよくやってもらっている

が・・・

慶一道の事を任せたのは間違いだ

ったか もしれんな 、君のお嬢さん

も中々しっかりしているのはわかる よ賢そうな、礼儀を確り身に付け

ている。

さすが君の娘さんだけはある。



しかし雅楽代の家を守るにはそれな りの教育を受けた娘でないと、君の お嬢さんも苦労するとおもう。

口うるさいのが沢山おる。

可哀想だが・・・、諦めてほしい。」


「はい、存じております。」


「これをきっかけに、合わせないと

約束してくれ、慶一道には良き令嬢 と 見合いさせ、結婚させよう。

今年5月で28歳だ、

丁度良かろう。」



慶一道そっくりの慶志郎は、

厳しい顔つきで

恋子を睨むような顔をしていた。


恋子は頭を下げて診察室を出た。

娘に諦めろと言うのは酷な気がして

どうしたものかと頭を悩ませていた。



ICUは長く居られない。

陽和は又の面会時間に合わせて


来ようと席を立とうとした。


「痛ってー‼」

慶一道が目を覚ました。

「慶一道分かる?陽和だよ。」

陽和は慶一道の枕元に駆けつけた。

「うん、分かるよ。」

慶一道の一言に涙がとまらなくなった。


「慶一道ゴメン、ゴメン、痛い目に合 わせて、本当にごめんね。」



「フフ何泣いてんの?陽和

お前を守っただけじゃん。」


「うん、うん、

ありがとう。守ってくれたね!

あんな事言ってゴメン。」


「じゃあ、許してくれるか、浮気と

か・・・

色んな事、君を泣かせた事」


「許せないけど許す。」


「ハハハハ、約束だぞ、俺お前から

バレンタインチョコ貰いに病院まで

行ったんだ。

どうしても、チョコが欲し かった、 陽和から貰いたか った。」


「うん、今度つくる。

チョコケーキ、会社まで持って行く ね。」


「陽和」

慶一道の手が陽和の頬を優しく撫でた。

二つの唇は優しく重なった。


「チョコの、変わり な‼」


「うん。」


その様子を慶一道の母親、

瞳がみていた。

瞳は微笑ましい2人の姿に

ホッコリとしていた。

瞳はやはり慶一道の気に入った娘と

結婚させてあげたいそう思っていた。



2人は仲良く見えて、

慶一道が身を投げて守りたい女性が

出来た事は瞳に取っては以外だっが


女遊びと噂の高い1人息子が

1人の女性を選んだ事は


それはそれは本当に、嬉しかった。











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