第37話 香水と百本の薔薇。


24日に降る雪なら

ホワイトクリスマスなのにな。


ホットレモンを飲みながら

ベットの上で呟く。

陽和の部屋に飾られている、

シクラメンや、大量の、

シャコバサボテン、

ポインセチアの鉢植えの隣には

小さな空の花瓶。1本の薔薇用。


その花瓶には薔薇は咲かない。


夜中陽和の家の一戸建ての道沿いに

一台の黒の、セルシ〇が止まっていた。

朝を迎えた玄関先には

厚く包装された100本の

色とりどりの薔薇の花が置かれていた。


26本の細いクルクルとした

リボン付きだ。

車は陽和の起きる時間の5時迄

動かなかったが、

陽和の家に灯りがともると静かに

動いて走り去った。


それは陽和のいちばん恋しくて

絶対会いたくない慶一道からの

薔薇の花だった。


彼の香水、オードパルファ〇彼の

マンションに遊びに行ってた頃

香水を見つけ、


「この香りが大好き。」


と言った日から彼はこの香水を

愛用する様になった。


リボンの取手の近くから、薔薇の

香りが避けるようにこの

オーガニックバジルの香りと

柑橘系のシトラスの香りが

微かに香ってくる。


雅楽代 慶一道の香り。


彼を思い出させる香り

オードパルファ〇



「なんだ、今更。」

熱の下がった陽和は頭がスッキリ

していた。

新聞を取りに出た時見つけた。

家族にバレないように

部屋に持ち帰りバケツに水を溜め

薔薇をバケツにつけ部屋に放置。


月曜日病院に持って行き、

飾る事にした。


日曜日

久しぶりにグッスリ眠った。

心地よい目覚めだった。

慶一道とお試し期間の間は、

彼の事が気になり眠れなかった。


又、何処ぞのおねーちゃんと

イチャコラしてるんじゃないか?

とか、お泊まりしてんじゃないかとか、色々頑張った事もあった。


然し、昨日のようにあからさまに、

俺達ヤりました。

と公表するような、

お披露目キスを見たせいで

ショック&確信が一度に飛んで

来たせいか、スッパり諦めきれた。


ジオンと現れた時点で陽和の負けは、一目瞭然、以外とサッパリ諦められた。

また出会いはあるさ、テキナ


月曜日薔薇を抱いて病院へ、

武蔵野先生の奥様に電話して

バラ用の花瓶をかりた。

警備員さんの手を借りて、

病院の待合室に飾った。


薔薇を見て喜んでくれる患者さんの

笑顔が陽和の

誕生日プレゼントに変わった気がして、

陰険な黒い闇が消えて

浄化されて行く気がして、

闇は残っていたのだと感じた。


23日夕方

「副社長、今日は娘達の誕生日なのでお先に失礼します。」


「あ、ああ、むす、娘さん風邪

は?」


「アハハもう、ピンピンしてますよ。

彼氏の事も吹っ切れたみたいで、ソロソロ 婚活頑張るーなんて言ってますよ。

《えっ‼》

もう26ですもんねー。」


「アハハア・・・ハハ

まだ26でしょ、早いよ!〃早いっ

て‼」


「娘が行く気になったんで

お見合いでもさせようか?って

主人と話してるんですよ。」



「ええっ、」


「あ、あのその、若いってぇーハッハッ

ハ!!」


「娘の事はどーでもいいんですけど

あのモデ ルさん?副社長が射止めた

話本当ですか?

今雑誌や、テレビで

特集してますけど・・・

宣伝効果はもうバッチリで

まあ売り上げは約束されたような物

ですけ ど。」


大仏部長は、

白か黒かを知りたかったんだろう。

直球で聞いてきた。



「いや、彼女とは何も関係ないよ。

付き合ってはいない。


まあ、色々は・・・あったけど。

ご想像どおりだよ。」


大仏部長に嘘は通らない、

昔からの付き合いだし、

もう分かっているんだろう。


「想像はしていました。」


「じゃ娘達が待っていますので・・・」


「あ・・・そ、そだったね。

ああ・・・あ、う、お疲れ様」


大仏部長は首をハテナマークに

グネラせ帰っていった。




穂花は、仕事が終わりバスを

待つていると、白い、

アル〇〇ードに乗った蒼太が現れた。


「穂花さんだよね、何回か会った

けど覚えてるかな?」


不意に声かけられて あ‼となった。


「武蔵野先生、知ってますよ、勿

論。」


「今日暇なら食事行かない?

助けて欲しい相談があるんだけ

ど・・・。」


「まーたなんか

ヤラかしたんですか?

これだからイケメンな男は、

信用な らん。」



と、一言嫌味を噛ましても、苦笑い。

う﹏ん、いっものチャラい元気が無く塞ぎ混んでる様子が伺える

彼は真面目に悩んでいるようだった。


「分かりました。いいですよ

先生の奢りで」


「あ、ああ、勿論。」


穂花と蒼太は少し離れたイタリアン

レストランに入っていた。


「あ、陽和が熱出した日?

そりゃ先生が悪いですね。陽和はも

う サッパリスッキリしていますよ。

今更‼」


シーフドサラダをパクつきながら

穂花はニッコリ微笑んだ。


「先生も陽和と彼が付き合うの

反対だったん でしよ、

それってヤキモチ?」


「え‼ ヤキモチ?何でそう思うの?

俺は女の子にしか興味ないよ。」


「ヤダヤダ!先生なのに

わかんない の?

仲のいい友達が、自分より彼女優先

っての が、許せなかった・・・違いま

す か?」

ペスカトーレをクルクル巻きながら

あんぐり。


「ええっ!そうなのか?」


「そうでしょ、幼稚園時代から

遊び回ってい た親友が

真面目になって、

自分達と遊ばな くなったから、

怒りの矛先が陽和に向いた

んでしょ。」


「そうなのか?」


「 そうなのだ‼」

穂花はいつも飲めない

高ーいワインを飲み

メインの高級牛のステーキをŧ‹"ŧ‹"‹"ŧ‹"


「やっぱり高いお肉は美味さがちがう ね。工夫しなくてもウマー。」


高ーいワインをゴクゴク飲んで

プファーッ

ゴシゴシと口を拭くと

デザートの甘いチョコケーキを

又ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”


食欲旺盛な穂花に対して余り食欲が

無い蒼太を見ながらパクパクパクゴクン


ふうん。はァー ´д`💨と溜め息

ばかり・•・

そう言えば随分痩せた気がする。


「先生、

縁があれば又くっつきますか

ら先生が心配しても無━━駄、

ですよ。

ロミオとジュリエットだって

引き裂かれた愛だけど心は、

くっついていたでしょ。


別れさせて別れたのだって、縁がな

いから ですよ 。

元気出してください。

チャラ男のくせにー悩むなよー‼」


結局口添えはすると約束したけど

先生の元気は風船が萎むように

縮んでいた。


なんにも悩まず、

遊び惚けていた彼はすこし、

痛い目にあい、成長したのだろう。

食欲の戻った穂花は食べたい物を

別注文して、もう、はらいっぱーい、

食いあさった。


高級レストランの穂花だけの食い放題

お代は先生持ち

やったぁあ😆♥

タダ タダ最高✨‼️




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