🌼浮気男のシンデレラ

ルミン

第1話 出会い

「ねえ‼ ねえ、‼大丈夫?

大丈夫〜?

伸びちゃってるけど大丈夫?

生きてますよね。

オ────イ!!📣き、こ、え、

ますかぁー。」


うっすらと目を開けると俺は、

うつぶせに寝転がっていた。


道の端に埋め込まれた幾つもの

レンガの角に小さなポサポサとした

草がみえた。


「ぅぅぅぅ!ハァー

気持ち、悪い」


上向きになった所で見えた景色は

クルクルとした巻き髪が俺の頬を

くすぐり丸いクルリとした目にぷっくらとした頬、唇に薄い縦線



「あー☆✤➷➽&♪#$@」

«かわいらしい。»



そう呟いたはずなのに、

言葉にならなかった。


酔っ払い特有のレロレロ語。


彼女は俺のネクタイを緩め、

ベルトを緩め、話しかけていた。


「もう直ぐ救急車来ますから

頑張っ て‼」


そう呟いた。

こんな状態なのに彼女に、

一目惚れ、属にこれが縁と

言うものか?


「脈を取ります。」


救急隊と連絡をとっているのが

分かる。


「多分、急性アルコール中毒と

思います。脈が少し上がってます。

顔色が凄く悪いです。吐き気・・・?

あーああ、

‼だいぶ吐かれています よ


え?彼ですか?

ちょっと待ってください。」


彼女は俺に視線を送ると、


「えっと‼お名前なんですか?」


俺は財布の一番前にある免許証を

ふらついた手で頑張って

彼女に見せた。

苦しかったから何も考えられ

なかった。

雅楽代 慶一道さん?

(うたしろ けいいちどう)

名前なーが‼


彼女は一言呟いたが

俺にそんな事を言った奴は

初めてだった。


こんな、事態なのに彼女に興味が

湧いていた。


電話での一通りの会話が終わった

「き・・・なま・・・えは?」

と聞いた。


「名前?わたしですか?

ひよピーポーピーポー

ピーポーピーポー

慌ただしい。

靴が沢山みえた。

野次馬が集まって来たんだな、と

ボンヤリ思えた。


ああーもうダメだ。


ガヤガヤガヤ、ガヤガヤガ

野次馬連中の会話の音が煩くて

彼女の名前は聞き取れなく俺は

ちからついて眠ってしまった。


目が覚めた時は病院で、医者が

ブツブツオレに説教していた。


女系家族の育ちなのか?

男の癖にグチグチ グチグチ!

まるで嫁から叱られているような

変なループ

俺には嫁は居ないけどそんな感じする。

ちなみにこの医者は男‼


殆ど俺は話など聞いていなくて、

でも説教に耐えたのは彼女の事を聞きたかった。

先生が居なくなると俺は、担当

ナースのプックラしたオバちゃんに

聞いた。


「え、あ〜あの子?

家に連絡してくれてましたよ。

さっきまで付き添っていて、つい今し方、 仕事があるからと帰られましたけど‼」


歳の50歳くらいの看護師さんは

「彼女さん?

可愛らしい方ね!心配かけちゃ

ダメでしょ うが‼」とニッコリ、




「ぁぁあああああ💦💦」


今日歯医者さんを予約していた事

を思い出した。

看護婦さんに頼んで

キャンセルしてもらい又ベッドで

横になった。


俺は頭を抱えて思い出していた。

昨日はキャバクラをハシゴして、

最後に気のあった彼女を

お持ち帰り・・・


の、はずが・・・


ホテルの近くで気持ち悪くなり、

女の子とタクシーを降りた。


「キャ━━━━━━━━━ッ‼

汚ぁ━━━━━━━い

ウワッ、ウワツ

寄らないでぇ━━━━え‼ ってバー

ボカッ💨イテツ


「おい、水を・・・水を・・・み・・・くれ‼」

吐きあげながら頼んだ、

ムカムカして気持ち悪かった。


「うーんモウッ‼

知らない‼ こんな目に合う

なんてぇ━━━━━━汚ーい

自分で帰ってよねっ💢💥」




さっきまで、俺の事、

「好き好き好き、離れない♡

彼女にして━━━━♡

貴方を愛してる♡

今日は、貴方に♡本気よ。」


って、ベタベタ、ベタベタしてたやん。


当然介抱してもらえると思って

いたのに俺も本気じゃ無かったから

お互い様だけどサ‼




彼女はタクシーを止めて自分だけ

乗り込みサッサと帰ってしまった。



「お・・・ぃ、そりゃあ

な・・・ぃだ・・・ろ‼」

俺は多分日に干され水気を無くした

アマガエルのようにベタンと

伸びていたのだろう。

意識が朦朧とする中、冷たい水で

気を取り戻した。



頭を抱えられ柔らかい

太ももの、感触

差し出されたイオン水を

ゴクリ飲むと止まらなく

ゴクゴクゴク一気に飲み干した。


ああ、助かった。🐸


体に水分が行き渡るのがわかる程

脱水を起していた。


細胞の一つ一つに行き渡る

干からびて割れた大地に水が染みて

行く感触‼

ジュワジュワと潤っていく。



「あ、有難う。」


「大丈夫?一気に飲んだら

駄目だよ。

苦しくない?」


と尋ねて来た彼女に

会いた い、会ってお礼をしたい。


撒き散らした、腐ったチーズの匂い

残飯の2週間放ったらかした匂いを

軽く超えるレベルの俺の体臭を

モロともせずハンカチで

顔を拭きあげてくれて

心配してくれていた。


上着をぬがし、ネクタイを緩め

ベルトを緩めてくれた

ベッドでは

何人もの女がニヤニヤして

同じ事をした、赤い爪、真っ赤な唇、俺を誘うボディに、酔わされた。


しかし彼女は具合の悪い俺を癒し

爪は綺麗な桜貝、口は〃大丈夫?〃

と心配してくれる。その態度が俺を

さらに癒してくれた。


こんな子がいたんだな。

あー天使にしか思えない。

会いたい‼


そして言いたい

君に一目惚れしてしまった

と・・・・・・。


今まで出会った女は何だったのか?

暗い穴の中から

急に地上に出たような、そんな感じ。


天使に会えた気がしたー๑♡ᴗ♡๑


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