第2話 動画を見て研究!!

 昼休みの時のさりげない会話から始まった私と女月のUTubeでのアイドル活動の計画を立てる為、この日の放課後、私は女月の家へと来ていた。


「そう言えば、UTubeでアイドル活動をやると言ったけど、具体的にはどんな感じでやって行こうかしら?」


 女月は机の上にノートを広げて、これから始まるUTubeでのアイドル活動のプランをまとめようとしていた。


「やっぱり、アイドルと言えば歌ったり踊ったりするのがメインだから、それだけで良いんじゃないかな?」


「でもさ、歌ったり踊ったりしているだけで、動画の再生回数が上がるかしら?」


「さぁ、どうだろうね? やっぱり、今流行りの歌を歌えば、動画の再生回数は高くなると思うよ」


「まぁ、そうでしょうね。じぁあ、さっそくどんな感じの歌動画が流行っているか見てみましょ!」


 そう言って女月は、ノートを置いている机を離れ、パソコンが置かれている机へと移動した。





 そして、女月はパソコンの電源を入れ、パソコンを起動させ、UTubeのページを開いた。


「歌と検索しただけでも、色々な歌があるわね」


 歌動画を検索し始めた女月は、数多くアップされている歌系の動画に目を通し始めた。


「やっぱり、歌系は人気があるのだよ」


「でしょうね。UTubeだと、流行りの歌も人気のある歌も全てタダで聞く事が出来るから、そのおかげでUTubeを利用する人が多くなったようなものだから」


「確かにね。みんなタダで利用したいのだよ。最も最近は、ネットの登場をきっかけに昔の様にCDが売れなくなっているみたいだし」


「そう言えば、確かに昔のCDは、今では考えられないくらいの枚数が売れたって聞いた事があるわ」


「そうそう、100万枚越えがザラにあったとか」


「まぁ、確かに昔はCDを買わない限りは、自分で聞きたい歌なんて聞けなかったからね」


「そうだね。中にはレンタルのせいでCDが売れなくなったとか言っている人がいるけど、やっぱりいちばん大きな影響は、UTubeの様な動画サイトの登場だと思うよ」


「確かに、UTubeの影響は計り知れないわね。このUTubeを利用しているだけで、いつでも好きな時に好きな歌が聞ける、一昔前には存在すらしなかった便利なものだもの」


「確かに、今は昔と違って便利な時代だよ」


 女月が人気の歌をチェックしている間にも、私は女月とパソコンの画面を見ながら話をしていた。


 そうしていると、女月がとある動画に目を付けた。


「ねぇ、麻子。この動画ちょっと面白そうじゃない?」


「ん? どんな動画」


 とある動画に目を付けた女月は、さっそくその動画を開き、私も女月と一緒にその動画を見てみる事にした。その動画の内容は、どこかの小学生5人組の女の子達が、学校の文化祭か何かで体育館内でバンドを披露している動画であった。


「この歌っているツインテールの子、可愛いわね」


「私は、キーボードを演奏している金髪の子も可愛いと思いますよ」


 私と女月は、そのバンド動画を夢中になって見始めた。


「このギターを弾いている子は、なんか男の子みたいにカッコいいわね」


「この動画からだとはっきりとは見えないけれども、ドラムを叩いている子は小さいながらも必死に頑張ろうとしている意欲が、観ていても伝わって来るわね」


「あと、このベースを弾いている子って、確か、別の動画では歌を歌いながら弾いていたような気がするのだけれども……」


 そんな中、私はこの動画に出てきているベースを弾いている子に特に注目をしてみていると、以前に別の動画でベースを弾きながら歌っていたのを思い出した。


「あぁ、そう言えば、私もその動画を見た事があったような気がする。確かその時は今歌っている子とドラムを叩いている子はいなかったよね?」


「確か、そんな気がする」


 同じく女月も私と同じ様に、別の動画でそれを見ていた事を言った。しかし、女月も私と同様に完全にその動画の内容を覚えているわけでもなかった。


「まぁ、こんな昔の動画は今は置いといて、私達の目的であるアイドル活動に活かせる動画を探すわよ」


「そうだね」


 そして、小学生のバンド動画が終わると、女月は再び本来の目的であるアイドル活動に活かせる動画探しを始めた。





 その後、女月がUTubeに上げられている数多くの動画を見ていると、またしても面白そうな動画を見つけ出した。


「ねぇ、こんな動画なんてどうかな?」


「この動画って、シンクロ?」


 次に女月がクリックして見始めた動画は、どこかの女子高生5人組による文化祭でのシンクロ公演であった。


「なんでまた、この動画を?」


「この動画は、普通のシンクロとは違い、某男子水泳部のシンクロみたいな感じで面白いのよね」


 女月が言う某男子水泳部のシンクロと言うのは、昔に放送をされたドラマの内容であり、このドラマをきっかけに男子水泳部の間では文化祭でのシンクロ公演が一時ブームになったと、以前にネットのサイトを見ていた時に記事で書かれていたのを思い出した。


「確かに、あのシンクロはまさに学生だからこそ出来る、まさに学生らしいノリが出ていますもんね」


「そうそう。あと、この動画のシンクロの場合は、自分達で歌たっり踊ったりしているせいなのか、まさに水中のアイドルって感じがするのよね」


「言われてみると…… 動画の前半でのプールサイド上での踊りの時は、アイドルの様な夏らしいセクシーなセーラー服の様な衣装を着ているけど、後半のプールの中でのシンクロ披露の時は、レオタードの様な競泳水着に変わりますもんね」


 私は再び女月と一緒に、その女子高生5人組が披露するシンクロ動画を、夢中になってみていた。同時に、この時に私は、このアイドルの様なシンクロ公演から、私と

女月でやるアイドル活動のヒントを得ようとした。


「それよりも、この動画から何か私達のアイドル活動に活かせるヒントを得る事が出来ないかしら?」


「ん~ 歌って踊っているという点くらいじゃないかな? しいて言うなら、このシンクロで使用されている曲が、当時の流行りの曲であったという事よ」


「やっぱり、流行りの曲でやるのが、一番なのね」


「そうみたいね。流行りの曲でやれば、検索ワードにも引っかかり易くなるし、何よりも見てくれる人が増える確率も高くなるわよね」


 この直接アイドルとは関係のないシンクロ動画から得たヒントは、流行りの曲を使う事により、動画の再生回数を少しでも上げる事が出来るという事である。





 そして、シンクロ公演の動画を見終えた後は、流行りの曲で尚且つ再生回数が高い動画で、一般人が歌って投稿をしている動画を探してみる事にした。


「そう言えば、歌の種類にもよるけど、オタクと呼ばれる層が好む曲とそうでない曲とでは大きく分かれるわね」


「分かれるとは?」


「なんというか、見ていて思うのは、人気があって尚且つ再生回数が高い動画は、基本的にオタク系が好む歌を歌っている動画なのよ」


 一般人が歌うタイプの動画で、基本的に再生回数が高くなる動画がオタク層に好まれる系の歌であると分かった途端、女月はため息をついた。


「やっぱり、アイドルとかを好むのは、基本的にはオタク層だもの」


「そうよね。そんなオタク層の人達が、一般人と呼ばれる人以上に見てくれるおかげで、再生回数も増えていくんだから」


「まぁ、とりあえずは、こんなオタク層に好まれている歌を歌う動画の投稿から始めていこうよ!」


「そうね。なんたって、最初でいかに注目をされるかがポイントなんだから!!」


 そして、再生回数が比較的上がりやすいジャンルの歌を見つける事に成功をした。


「じゃあ、さっそく明日から練習の開始だね!!」


 こうして、アイドル活動を始めるのに参考にする動画の研究は、一旦終わりを迎えた。

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