散文シリーズ
津麦ツグム
日常
塩酸の海で泳ぐ
肌を灼く空気
一歩一歩地面を蹴る
蹴る足が痛んでも、息をする肺が軋んでも
日常と歩行は似ている
ただ進んでいるだけなのに酷く疲れる
このままきっとひとりきり
夜の街は墨汁に浸されたように昏く湿って
街灯に照らされたアスファルトが
ぬらりと蠢く
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