「春ショール」

 今日は春物の服を買いに来た。彼女と私でああでもないこうでもないと楽しみつつ、ある程度籠に入れたところで。

 私の目に薄手の黄色いショールがとまった。まるで


「あれが欲しいのか?」


 取ってやろうと私より背の高い彼女が高いところに置いてあるショールをとってくれて。


「しかし、貴様が黄色とはな。まぁ春の色だが」


 桜色かと思ったぞと言う彼女につい俯いて。もごもご。


「あなたの……色ですし」


 と呟いたら彼女に抱きつかれた。

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