非日常で非常識な世界
@mizunazuki
序章
「やっほー!僕の名前は夜桜孫だよ!仲良くしてね!」
そんな挨拶をしてダダすべりした高一の自己紹介を鮮明に思い出す。
あれは言わば黒歴史だ。
もしかしたら、いや、もしかしなくても夢だったかもしれない。
幻想だったかもしれない。
残念ながら現実だった。
さっき言ったように僕の夜桜孫だ、ちなみに「孫」は「まこ」と読む。
小・中学校くらいだったっけな?
初めて名前を呼ばれる時は、よく間違えられたものだ。
え?高校に入ってからは間違えられないのかって?
話しかけられないから、わかんないや。
そんな、人見知りな僕に話しかけてくれたやつが1人いる。
物好きな彼の名前は上野勇志。
「うえの」ではなく「かみの」だ。
ちなみにこいつは僕と違い「典型的」イケメンだ。
「典型的」がいるということはこの世界には「例外」イケメンがいるのかという話になるが、そこは正直分からない。僕としては、イケメン自体が「例外」な生き物だからだ。
「典型的」というのは、顔自体も申し分なく、成績優秀だし、運動もできる。
なんせ僕に話しかけてくるくらいだから、コミュ力も高い。
女子からも男子からも人気で、モテモテなようだ。
僕に話しかけてきた時はイケメンオーラを放っていてなんだこいつ、と思っていたが、話してみるとなんとも居心地がよく感じる。
今では、親友のように仲良くなっている。
互いのことを、「ゆう」「まこ」と呼びあっている。
勇が言うには、
「もてんのもだりぃんだよ」
「まぁモテないし、友達いないし、女子とも全く話せないやつには分からないだろうな」
言い過ぎだ。
友達だって、中学まではいたし。
こんな僕にだって女子の友達はいるから。
その子の名前は桜葉弥生。
いわゆる幼なじみだ、腐れ縁と言った方が正しいのだろうか。
勇と同じで頭も良く、運動もできる。
行動や考えることは男勝りだが、かわいい。
うん、かわいい。
雰囲気的には「可愛い」より「かわいい」の方が合っているように感じる。
頭がいいというのは決して成績が優秀という訳では無い。
頭がいい=成績優秀には必ずしも結びつかないのだ。
ここで言う頭がいいとは雑学的な面で多くを知っていると表す。
彼女は色々知っている。いや、知りすぎていると言った方が納得が行くだろう。
だから僕は、彼女の本職は単なる学生ではなく、情報屋だと思っている。
もちろん、本気で言っている訳では無い。
言いそびれたが、彼女は声がかわいい。
声フェチの僕には彼女が喋る度に心臓に直接会心の一撃が当たるような気持ちでいる。
まぁ、さすがに慣れたが...
どこにでもいるような男子高校生と誰もが憧れる美男美女の3人物語。
先に言おう。
この物語はハッピーエンドでは無い。
よくあるハーレムものだったり、主人公が強かったり、そんな力僕にはない。
無力な僕が「日常」を取り戻すために「非日常」と戦う物語。
タグを付けるなら何をつけたらいいかわからない。
戦闘系でもあるし、日常系でもある。
ほのぼの系であって欲しい。
そんなちぐはぐで無鉄砲でフラグの立たないバットエンドのストーリー。
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