湯けむりユートピア
ロッジに行くために雪山を通ることにした僕たち、ただ今絶賛凍え中!
「さささささむい〜…」
「大丈夫かヨウ!?くそっ、ジャパリパークの車はなんで窓とか無いんだ…」
雪山に来て新しく気がついたこと、僕は寒いのが苦手だった。
防寒着はツチノコにあげちゃったから僕の分はございません!
まあツチノコがあったかく出来るならいいんだけどね…
「あ"ーさぶさぶさぶぶぶびびでばびでぶ…」「ダメだ、早くなんとかしないとヨウが壊れてるぞ!」
寒すぎて頭の中が真っ白になってくる…
なんかいろいろとヤバい。
「温泉宿…どこにあるんだ…ラッキーはこの調子だし…」
「アワワワワワワ…」
ラッキーは震えながらアテンションフリーズしている。
いやアテンションはプリーズだった。
寒さで脳内のノリがおかしくなってる…
「ヨウ、ボクがわかりますかー…?」
「大丈夫…わかる…」
スナネコが僕の体をさすりながらそう声をかけてきた。
寒さでいっぱいいっぱいで考えてもなかったけど、めっちゃ触られてる事になる。
そんな事今はどうでも良いけど…
「だからオレは大丈夫ったのに…」
「ヨウー、大丈夫ー?」
だんだん感覚が薄れていく気がした…その時…
「あなたたち、どうしたの?」
誰かが、雪道でゆっくりめに走るスタッフカーに近づいて言った。
黒と紺色の見た目のキツネのフレンズ…かな?
紺色の服のキツネのフレンズね…
そのフレンズの質問にはツクヤが答えた。
「ああ、雪山に温泉宿があると聞いて来たんだけど…俺の友達がこの有様でな。」
ツクヤは僕を指差してそういうと、キツネのフレンズを車に乗せた。
この車めっちゃ広いよね、窓ないけど…
「私はギンギツネ…ってあなた、よくそんな格好で雪山にいこうと思ったわね!?雪山を舐めてると死んじゃうわよ!」
「ごめんなさい…防寒着とかはツチノコにあげちゃって…」
それを聞くと、ギンギツネさんは納得したように
「なるほど、それなら仕方ないわね…」
と言った。
助手席にいるツクヤは、後ろを振り向くとギンギツネさんに質問した。
「そういうわけで、温泉宿について何か知らないか?」
「知ってるわよ、ていうかそこに住んでるし…」
おおっとこれはツイてる、よっしゃラッキー!
という事で!
僕がおかしなノリになる前に…いやもうなってるかもしれないけど、そこまで案内してもらう事に…
〜温泉宿まで移動〜
「ほら、あそこよ。」
「おー、噂通りのよさげな場所ですねー。」
ギンギツネさんのおかげで、僕たちは温泉宿に到着することが出来た。
和風でゆったりした所だなぁ…
「さあ入って。」
「ありがとう…」
僕はヨロヨロとした足で温泉宿に入った。
そしてみんなもぞろぞろと入っていった。
「帰ったわよ、キタキツネ。」
「あっお帰りギンギツネ…うわー!いっぱいいるー!?」
「それ私のマネ…!?」
ギンギツネさんを出迎えたのは、そっくりな見た目の『the・キツネ』って感じの色のフレンズだった。
キタキツネさんと言うみたいだね。
「僕はヨウ、そしてこっちがツクヤにスナネコにツチノコにナミちー。」
「ホントにいっぱいいるね…」
軽く自己紹介したところで、僕たちはギンギツネさんに連れられて赤と青の…
「ツクヤ、あのかかってる奴ってなんて言ったっけ?」
「ノレンの事か?」
そうそうノレン、赤と青のノレンの前までやってきた。
「えっと、どっちに入ればいいのですかぁ?」
「こっちかなー?」
スナネコたちが青い方に入ろうとすると、ツチノコが呼び止めた。
「ちょっ…待てお前ら、こっちこっち…」
スナネコたちはツチノコに連れられて赤いノレンの方に入っていった。
「それじゃ、俺たちも行くか…」
「あっ、ちょっと待って…」
ギンギツネさんに呼び止められて振り向くと、服が入った籠を渡してくれた。
「温泉あがった後にこれ着て」
「わかった。」
そして、僕たちは青い方のノレンに入っていった。
〜温泉内〜
「うおー!温泉だぁ!」
「あんまり走るなよ?転んだら大変だ…」
ツクヤに心配されながらも、僕は温泉を前にして大はしゃぎだった。
「入ろ入ろー♪」
「まずはかけ湯だ、ほら」バシャバシャ
「ありがとう!」
かけ湯をしてもらって、さっそく温泉につかりにいった。
「ふいぃ〜♪気持ちいい〜♪」
「わふぅ…♪」
今、ツクヤがだいぶかわいい声だしてた気が…!?
めっちゃリラックスしてるし…
「おんせんさいこー…♪」
「さいこー…わふぅ…」
ツクヤ、ホントにくつろいでるし…
お風呂好きなのかな?
「ツクヤー?おーい…」
「わんわ…ハッ!?」
ツクヤはハッと我にかえると、顔を赤くして咳払いした。
「んん"っ…いい湯だよな。」
「そうだねぇ…」
イヌってお風呂好きなイメージあんまりないけどなぁ…いやオオカミかツクヤは。
「あー…えっと、体洗う…?」
「…(無言で頷く)」
という事なので、一緒に体を洗うことにした。
「ごしごし…綺麗にしましょうね〜、なんちゃって。」
「ヨウ、それシャンプーなんだが…」
「えっ!?うわホントだ…」
途中でシャンプーと体の石鹸を間違えながら、体を綺麗に洗った。
「ツクヤー、頭洗ってあげようか?」
「自分で出来るが…?」
「いいからいいから♪」
シャンプーをよく泡だてさせて、髪をわしゃわしゃしてあげた。
「ちょ…そんなわしゃわしゃするな…」
「オオカミの耳が出てるよ〜?」
「ああ…わん…」
なんだこのかわいい生き物…!?
普段のクール&ハイスペックなイケメンは何処へやら…これはもうデッカイワンチャンだよ。
「めっちゃ尻尾振ってる…」
「あっ…!?…後は自分でやる…」
完全に照れちゃった…ちょっとやりすぎたかな?
怒ってないといいけど…
「なんか…ごめんね…?」
「い…いや、謝らなくて良いんだ。」
許された…のかな?
ということで体と頭を洗ってお風呂に戻る…
〜ツクヤ視点〜
なんだあのわしゃわしゃ…
妙に上手くて思わず気が抜けるところだった…
俺はイエイヌじゃないんだぞ全く…(照)
「ばばんばんばばんばん♪」
ヨウ、何か歌ってるけど微妙に違うぞそれ…
「よっ…と。」
俺も温泉に浸かり、ふとヨウの左肩が視界に入った。
んん…?
「色が違う…?」
ヨウの左肩だけほかの部分と肌の色が違っていて、傷が治ったばかりの肌のような、薄いピンク色をしていた。
「ツクヤ、どうしたの?僕の体をじっと見て…まさかツクヤって!?」
ヨウは冗談半分な様子で手で胸を隠した。
お前男だから隠すもの無いだろ…
「な訳あるか、てかそのポーズやめろ。」
全く調子いい奴だよ…そういうところも含めて面白い奴なんだけど。
〜ヨウ視点〜
そんな感じでふざけ合いながら温泉に浸かっていると、ツクヤがこう話しかけてきた。
「ヨウ、俺はお前が現れるまでは正直心細かった。
ヨウはもう気づいてると思うが…フレンズは全員、人の女性の姿だから…嫌いなわけじゃないんだがな。」
そっかぁ…異性に囲まれて過ごすのは落ち着かないよねぇ…特にフレンズドクターなんだからね。
「それにしても、そういう事って気にするんだね…」
「多少は気になるんだよ、俺15歳だし…」
そうかー、15歳…え?
「えぇ!?」
「なんだ?どうした?」
「いやちょい待ち、僕16歳だよ!?」
「えっ…!?全然そうは見えなかったな…」
ちょっとー!それどういう意味だー!
でもツクヤの方が大人っぽいのは確かなんだけどさ…
「俺…どういう風に接したらいいんだ…?」
「今まで通りでいいよ?だってツクヤは僕の親友なんだから!」
「親友…か…」
ツクヤは、なんだか嬉しそうな顔をしていた。
「ツクヤ、そろそろあがる?」
「ああ…そうするか…」
〜脱衣所〜
「ギンギツネが、温泉からあがったらこれを着るようにと…」
「おっ、これってユタカ?」
「浴衣だ、ワザと言ってないか…!?」
ハッハッハ、流石にバレたかー!
ってこの浴衣カッコいいなぁ!
僕が白、ツクヤが黒の浴衣を着ている。
「スナネコたち出てるかな?」
「どうだろうな、かなり早く出たからな。」
ノレンを潜ると、スナネコたちはいなかったけどキタキツネさんがいた。
「あっ、ヨウ…だっけ?」
「うん!そうだよー!」
「じゃあちょっとボクに付いてきて…」
そう言われて付いていくとそこにあったのは…
「おおっ…!これは…」
「げぇむだよ…」
たくさんのゲームの機械だった。
種類もいろいろある…
「ギンギツネが新しくげぇむ機を直してくれたから前よりも増えたんだ…!」
「そうなんだ…!?というかギンギツネさんすごいなぁ…」
「ギンギツネ、機械いじりが得意だから…『なぜかわからないけど出来る』って言ってた…」
機械いじりかぁ…僕はあんまやらない奴だなぁ…?
と思っているとツクヤが
「機械いじりか、俺もたまにやるな…」
さすがはハイスペック…
そしてデッカイワンチャン。
「でね、ボクとげぇむで遊んで欲しいんだ…」
「ゲームか…よし、まずは俺が相手をしようか。」
ツクヤはそういうと、ゲームのイスに座ってゲームを始めた。
「まずはこれ…格闘げぇむ!」
「格ゲーか、面白そうだな!」
『ゲームスタート!』
そしてバトルが始まった!
「先手必勝だ、行くぞ!」
「…(ガチャガチャ)」
威勢良くかかっていったツクヤに対して、キタキツネさんは無言でキャラを動かしている…
「あっ…!?まっ、待て!これじゃ俺が動け…」
「トドメ!」
『KO!』
ダメだこりゃ、完全にハメ技にかかってるじゃない…
ハイスペックだけどゲームの経験は…なかったみたい…
「嘘だ…(がっくり)」
「ボクの勝ち、なんで負けたか明日までに考えてきてね…なんちゃって。」
ツクヤ、完全に落ち込んでるよ…
フレンズによって得意なことは違うんだから仕方ないけどね…
「ツクヤ、代わっていい?」
「アッハイドウゾドウゾ…」
第二ラウンドはツクヤに代わり僕がやる。
あっ、そうだ!一度言ってみたかったセリフがあるんだよね。
「さあ、オレとゲームをしようぜ!!」(ドン☆)
「「オレ…!?」」
「いやー、一度でいいから言いたかったんだよねー♪」
それじゃさっそくゲームスタートォ!!
「行くよ…」ガチャガチャ
「ふふっ…」ガチャガチャ
「腕の動きが尋常じゃない…」
キタキツネさん…なかなか強いぞこれ!
いやぁ、ゲームの動かし方を覚えててよかった!
「うおおおおコマンド発動!!!」
「こっちも…!!」
僕とキタキツネさんは、ボタンをめっちゃ押してコマンド攻撃をした。
『KO!』
「よっし!勝ったよ!」
「何が起こってるのかさっぱりだな…」
「ぐぬぬ、今度こそ…」
そして、第3ラウンドは…
「やった…!」
「惜しかったー…」
キタキツネさんがかなり本気を出したから、僕の負けで終わった。
でもめっちゃ楽しかったよ…!
「次は…これ!」
「おっ、面白そう!」
次のゲームは、デンジャラスなゾンビたちを武器を使ってやっつけるゲーム!
「行くよ、ヨウ!」
「うん!いつでもいいよっ!」
『オ"ア"ァァァァ!!!』
「当たれ…!」バンバンバン
「いっけー!」ズババババ!
なかなか難しいなぁ、かなりワクワクしてきた…
『ゲームクリア!』
「やった!」
「ボクたちの勝ち…!」
このゲームも楽しかったなぁ!
と僕たちがゲームをやっていると…
「ヨウ〜、何してるのですかぁ?」
「おお、ゲームか…実物は初めて見た。」
「キシシ…私もやってみたいね…」
と、スナネコたちが帰ってきた。
スナネコたちも浴衣を着ている!
スナネコが黄色…ナミちーが紫色…ツチノコは…ピンク色!?
「ツチノコ、意外だねー!」
「違っ…!?これしか残ってなかったんだおォ!?」
あっ照れてる…
ツチノコもツクヤも物静かに見えてかわいいところあるんだよね…ふふっ。
「それで…ナミちーもやる?」
「シシッ…やるよぉ…♪ツッチーもやろうよ!」
「たまにはこういうのも悪くないな…!」
と言うことでツチノコ&ナミちーでゾンビゲームをやっていた。
「なかなか気味が悪い怪物だな。」
「そうかな?」ズババババ!
ナミちー、慣れるの早すぎるよ!
そういやスナネコはどうだろ?やりたかったりするかな?
「スナネコ、やる?」
「そうですねー…」
『ヴァァァァァ!!ブゥン!!!』
「ひゃっ…!?…やめときますね。」
「わかったよ!」
ちょっと怖がってる…?
もしかしてスナネコはゾンビとか苦手なのかも。
『ゲームクリア!』
「早っ!?」
「やったー!」
「簡単だったな…!」
めっちゃ早いペースでゲームをクリアした二人、意外とゲーム向いてるのかな?
「次はあれとこれと…」
「望むところだよー!」
その後もいろんなゲームをやって、勝ったり負けたりを繰り返した。
「9勝9敗…すごいねヨウ…♪」
「へへっ、キタキツネさんも!」
そして、お互い10勝目を目指すためにゲームをやろうとすると…
「二人とも、もう遅いわよ!」
「あっ、ギンギツネ…」
ギンギツネさんが僕たちにそう呼びかけた。
というわけなんで寝ることに…
〜寝室〜
「おおー、ふかふか…」
「いいねーこれ!」
あー、めっちゃいい…
僕たちは布団にゴロンと寝転がった…
「しっかし広いねー…」
「ゴロゴロ転がってみたくなりますねー…」ゴロンゴロン
「いいねーそれ」ゴロンゴロン
僕とスナネコは、布団の上でゴロゴロと転がりまくった。
これ結構楽しい。
「ちょっ…ホコリが…」
「ヘェークショイ!!」
ツクヤの声もツチノコのくしゃみも無視してやり続けていた結果…
「たーのしー!」ゴロンゴロンゴロン
「まんぞく…」
「うわぁぶつかる!!」ゴーン
そして急に止まったスナネコと勢いよくぶつかった…いってー…
「いたた…大丈夫?スナネコ…」
「大丈夫ですよー…」
そして、ツクヤが僕たちに布団をかけて
「やれやれ、ほら寝るぞ。」
と優しめに言った。
ホント兄性あるよね、歳下だけど…
「おやすみぃ…いてー…」
「おやすみなさい、ヨウ。」
僕たちは、明かりを消して寝ることにした。
後から気がついたけど地味にスナネコが隣で寝てる。
〜深夜〜
「かあ…さん…」
「ん…?」
とても暗い時間、僕はツクヤの声で目を覚ました。
母さん…?
「母さん…死なないで…」
「ツクヤ…?」
涙も出てる…
ツクヤ…昔に何かあったのか…な…
「ぐぅ…」
気がついた時には僕は寝ていた…
➖➖➖➖➖温泉宿の外➖➖➖➖➖➖
激しく雪が降る深夜、人影が一つ…
「ふふフ、温泉宿でお泊まリ会とはね…」
ヨウたちに何度もセルリアンをけしかけた彼だ。
後ろの方には、30体ほどの小さなセルリアンたちがついていた。
「そろそろヨウたチに会ってみてモいいんじゃないかな?」
「——♪」
周りのセルリアンたちも、賛成するかのようにピョンピョンと跳ねた。
「それジャ…行こウか…」
そして、セルリアンを引き連れて温泉宿の方へと進んだ。
「フふふ…ヨウ、ボクの姿ヲ見たらビっくりするダろうなぁ…」
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
〜朝〜
「うーん…よく寝たぁぁ…」
目を覚まして周りを見ると、誰もいないことに気がついた。
「あれ?みんなどこ行ったのかな?」
僕は、綺麗に畳まれたシャツとジャケットを着て寝ていた部屋から出た。
畳み方的にツクヤが畳んでくれたのかな?と考えながら歩いてると、ツチノコ(防寒着モード)が走ってきた。
「大変だヨウ、セルリアンが出た!」
「なんだってそれは本当かい!?」
僕は、急いで外に向かおうとした。
するとツチノコが呼び止めて…
「待て、これ着ていけ!ギンギツネから借りた奴だが…」
「うおっ防寒着」
赤い防寒着を投げ渡してくれた。
僕はそれを着て外に出た。
「みんな、大丈夫!?」
「おお、来たかヨウ!」
「ボクたちなら大丈夫です、小さなセルリアンだったので…」
僕が行くと、セルリアンはほとんどいなくなっていた。
「よーし、残りもやっつけよう!」
僕も、赤毛の
「えいやっ!」パッカーン!!
よーし、絶好調!
大したことなかったね!
「やった!」
「終わったか、戻ろう…」
ツクヤたちと帰ろうとした時、白い景色の向こうから黒い影が来るのが見えた。
そしてその影の姿がはっきりと見え、それが声を出した。
「いヤァ、お見事オ見事…さすがはヨウとそノ仲間だね…」
「お前は…!?」
ツクヤは目を丸くして驚いていた。
驚くのもわかるよ…だって…
その人は僕にそっくりだから…
「君は誰…?」
「ボクはセルリアンだ、まあ…君が太陽ナらボクは黒点カな?」
〜次回へ続く〜
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