オールオーバー!! ~end of the World~
ある日。発展の極限に達した人類の医療技術は、癌を含む全ての病を克服した。
さらに数百年後。テロメア構造の全てを解明した人類は、寿命という
数百年後。光速を超えるワープ航法が生み出され、人類は太陽系の外へと進出した。
まだ見ぬ刺激と新しい知的生命体との出会いに、人類は熱狂した。
数千年後。「速度」という概念を覆した人類は、宇宙のどこであろうが瞬時に手を伸ばせるようになった。あらゆる惑星、あらゆる銀河の調査が行われた。
数万年後。この宇宙には人類以外の知的生命体は一切存在しないということが立証された。この頃ちょうど人類は「個」の概念も超え、肉体を捨てた一つの思念体として統合されていた。
数十万年後。「生命」についての真相が突き止められた。
「死後」への恐れや期待は全て消失した。
「超科学」という言葉は消えた。科学を超える事象は存在しないと証明された。
数百万年後。人類に新たなる感情「歪ねき」や「絶にみ」、「寿なさ」が発見された。すでに宇宙に自分以外の知性が存在しないと知っている人類は、その新しい感情を刺激することに熱狂した。
数千万年後。人類の全ての感情が発見され尽くしたことが、論理的に証明された。
もう宇宙には何もないと知っている人類は、自分の中であらゆる世界を創作し、未知の組み合わせを発見することでなんとか自分の心を動かす作業を始めた。
数億年後。この宇宙に存在する全ての娯楽・感情パターンが消費され尽くしたことが、論理的に証明された。
もう、宇宙のどこで何をどうやっても、新しいものは何も発生しないということが、論理的に証明された。
次の日。人類は全宇宙を破壊することにした。
破壊から新しい何かの誕生を期待したとか、この世に絶望したとか、そういった感情からではなかった。そんな陳腐な感情は、とっくの昔に体験し終わっていた。
単に、やることが完全に無くなったからやり直すだけだ。
それは、勝負のついた将棋盤の駒を初期配置に並べ直すのと全く同じ行為だった。
人類は、ただ次のゲームをするためにリセットボタンを押すだけだった。
善意も悪意もなく、ただ人類は事務的に宇宙を破壊した。
ビッグバンが訪れた。
今から138億年前の話である。
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