五色(ごしき)の世界
CHARLIE
その1 青い樹の海 原稿用紙約1枚
青い……。
青いフィルム越しに撮影した映画のように、世界が青い。陽の射す昼間は夜のように暗く、夜の闇はさらに黒く深い。
そしてこの森のなかは今、日中でさえも、樹々が青い塊のように見えるほど、特に青い。
こんな青い世界!
ぼくは自分の体を思うように動かすことができない。自分の意識すら、誰か別の者の意志のように思えて来る。
自殺の名所と言われるこの樹の海。
嗚呼……みんなこうやって、青い海に導かれて、ここへやって来たのだ。今のぼくのように。
二月の終わり。冷たい風が心地良い。小さな雪さえ降り始めている。その雪片でさえ、青味を帯びている。
解放されるのだ。青が流入するこの世界から、この季節から。
ぼくは太い幹にロープを垂らす。どれも濃い青をしている。
もうすぐだ! 解き放たれるまで……!
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