第48話 アーク対アルトリア 後編
オレとアルトリア王女は同時に姿を消す。そして、一気に距離を詰めて剣をぶつかり合わせる。そして、互いに弾き返すとそこから更に剣を交える。
激しくぶつかり合う剣撃は徐々に勢いを増していく。火花を散らしながら交えられる剣を境に顔を共に見合わせる。ニヤリと不敵な笑みを見せてきたのでオレも笑い返してみせる。
「はぁぁぁぁぁっ!」
気合いの叫びと共にオレの剣を横へと薙ぎ払う。そして、彼女はそのまま剣を顔横にまで持ってきて、持ち手の底に手を置いてオレへと剣先を向ける。そして、刺した。
「っ!」
薙ぎ払われた剣を瞬間的に胸の辺りへと持ってきて剣の突きをガードする。
ガギィィィンッ!と鋭く高い音が響き渡る。しかし、突いただけで攻撃は終わらず防御された事なんて知らん!と力のままに更にオレに向かって剣を押す。
その力強さにより、オレは遠くへと吹き飛ばされる。空中を舞い態勢をととのえようとしたときに、更に彼女はオレへと攻撃を仕掛けてきた。
空を舞うオレのすぐ傍に移動し、そして剣を上から振りかぶる。上から振られる剣に対して、オレは空中で螺旋する。
回転によって交わったアルトリア王女の剣は簡単に払われる。回転をやめると空中だからかバランスの取れない彼女にオレは先程の彼女の攻撃のように、剣を突きの構えにする。
「お返しだ」
同じように胸をめがけて突きを放つ。オレの剣はそこに偶然あったアルトリア王女の手に持つ剣によって守られる。だが、その押す力によって下がりつつ吹き飛ばされる。
地に激しくぶつかり大きな煙が舞い上がり、それと共に大きな衝撃音が轟いた。
オレは静かに着地をして彼女の様子を遠くから伺う。
心の中だからこそ言える話、もう戦うのが面倒い。そもそもの話、オレはお昼ご飯を食べていない。お昼を食べようとしたときに、ユリアルクス王女が襲われていたため、昼を取り損ねている。
そのため、空腹もあって戦うことがそろそろイヤになっていた。これで降参してくれるとありがたいのだけれど。
と、思うのだが彼女はそう甘くない。
土煙を散らし、その中からアルトリア王女は現れる。
「はぁぁぁぁ!!!」
叫びとと共にこちらへと猛烈な勢いで剣を構えて走ってくる。ボチボチ終わりにしねえとな。
自分でも分かる不敵な笑みを浮かべると、オレも同じように走り出す。
「行くぞ!」
「ああ!」
徐々に狭まる距離。そして、次の瞬間に更に足を踏み込ませ加速をかける。そして、二人の剣は交差する。
キィィィィィィン!
甲高い金属音が響く。
共に剣は振った後だからか前へと出され、そして背を向け合っている。何一つ音がない沈黙の時が空間でつくられる。そして、時は動き出す。
「カハッ………」
アルトリア王女の手に持つ剣を落とし、膝から崩れ落ちる。横腹の部分を抑えながら何とか意識は保てているようだ。ピクピクと体を震えさせる彼女にオレは剣を鞘に納めながら近付いていく。
「オレの勝ち、でいいよな?」
声を聞いて、アルトリア王女は顔をこちらに向ける。そして、彼女の目には差し出すオレの手が目に入っていた。それを見てしばらくするとその手に自分のそれを起き、言う。
「ああ、私の負けだ」
オレはその言葉を聞き、驚いてしまった。
「ん?どうかしたのか?」
「ん、いやそのな……」
アルトリア王女を起き上がらせつつ、オレは喋った。
「キャラからして、まだだ!まだ負けていない!とか、何かずるい手を使ったな!?とか言ってきやがると思ってて」
「貴様は私をどういう風に捉えている!!」
憤慨しながら、オレの手を豪快に放す。
おっとと。
どうやら彼女はプライドが凄い大事だったり大切だったりするわけではないらしい。まあ、そっちの方がこちらもありがたいから、別にいいけど。
「負けてしまったのも確かだが、私は貴様を許すつもりはない。処刑を免れるだけだ」
「そこは守るんだな。てっきりまだ何か手があるのかと」
「だから!私を!どんな!風に!捉えて!いるん!だぁーー!」
先程倒れていたとは思えないほどの高速のパンチが繰り出されるが、それを全て避ける。
この子、意外とタフネス。
「いいから行くぞ。今はこの結果を報告しなければならん」
スタスターと早歩きでオレを置いていくかのように向こうへと行くアルトリア王女。それにオレは薄く笑いながらついていくのだった。
これ、前編後編で分ける必要あったのか?と後になって思う自分でした。
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