第11話 大きな一歩をオレは踏み出しいつの間にか時は流れる
オレは南の街ルワルツにあるシャルルドという森の中のとある家に住む、街で有名な魔術師ローナ姉さんことローナ・スタリアスの弟子となり、新たな生活が始まった。
ローナ姉さんはまだ23と若い年齢で、若くして天才に目覚めたのだとか。しかし、顔や体もいいにも関わらず、女子力が異常な程にないことをオレは生活三日目で悟った。そこはオレがしっかりとカバーしよう。
このローナ姉さんの家には案の定、魔法に関する本が山のようにある。オレの家にも魔法の本はあったが、この家にあるものの方がかなり本格的に魔法について書かれてあった。
オレは姉さんに魔法を教えて貰いつつ本を読むの繰り返しを行う日々を続けていた。
そして、一ヶ月ほどが経った。
魔法のレベルも前よりも更に格段に上がり、強くなってはいるものの、他に進歩が全くない。結局クスマの言っていた魔法百個の件も今だ進歩なしだ。
今日もいつも通り姉さんの修行が終わりオレは図書室に閉じこもる。早速本を開いて神速で本を読み進め何か手掛かりがないか調べる。これでもない………これでもない………。
探しているとオレはあるページのある部分に目を止めた。
そこには小さく書かれた「創成魔法」という文字が。オレが何故目を止めたのか、インスピレーションだとかそんな曖昧なものではなく、それにはちゃんと理由がある。
オレが知る限り創成魔法とは「その魔法属性から想像した物の形を創成する」というものだ。家の図書館で見た本にも、この場所で見てきた本にもそのように書かれてあった。しかし、この本の創成魔法の説明はこうだ。
『使者が想像したもの、創成したいと願ったものを創り出す』
オレが今まで知っていた創成魔法の定義とは大きく異なっていた。これは大きな発見だぞ!
しかし、何故今までローナ姉さんはこの事を教えてくれなかったのだろう。ローナ姉さんは「私はこの家にある本を全て読破してある!」と胸を張りながらドヤッてたのに。
やはり師匠として時間を掛けて気づけということだったのだろうか?
いや、そんな事はあるまい。あの人はちゃんとしているようでどこか抜けている。忘れていたの
か、もしくは読破したと虚勢を張っただけか。まあ、考えるのは後でいいだろう。
創成魔法のこの説明だと、恐らく属性関係なく武器なども創れるのだろうか。
オレは手を広げて心で言い放った。
『創成魔法 創成 「
それから数秒。
数十秒…………………。
うん、出てこない。
なぜだよ!何故なんだよ!
まさか、これは嘘が書かれているのだろうか。
少し、そうも考えたのだがある一つ思い当たることが。
確かにオレは今、剣を創造しようと強く願った。しかし、その剣の形の明確なイメージを浮かべていなかった。恐らくそれが原因だろう。
それならば今度はちゃんと真剣で剣の形はお父さんの使っていた剣で………。
頭の中で明確なイメージを構築し改めて心で唱える。
『創成魔法 創成 「剣」』
すると、オレの手から赤黒いスパークが不規則に迸り、そして今度閃くとオレの手には剣が握られていた。剣の形もイメージ通りだ。
どうやら成功したらしい。未来へのこれは大きな一歩だ。
その後も色々なモノを創成した。ナイフやら盾やら鎧やらetc.
そして、ある結論にまでいったときにローナ姉さんが部屋に入ってきた。
「おーいアーク、腹が空いたからご飯を…ってなんだこの武器は!?」
オレは部屋に足の踏み場もないほどに色んなモノを創成していた。それ故にローナ姉さんが驚くことも無理はないだろう。
「つい魔法をここで試してさ。悪い悪い」
オレは物をしまえる魔法「収納魔法」で部屋の中にある武器を全部しまった。
「そろそろ夕飯の時間だしな。すぐ行く」
「肉食べたい」
「はいはい」
オレは本をしまいながらそう言った。そして、同時にその結論を後で試そうと心で決めた。
※ ※ ※
時が流れる、ということは本当に長いようで短い。一ヶ月であろうとも、一年だろうとも。
ローナ姉さんに弟子となって早二年、遂に学園に入学する歳となった。
オレはこの二年大きく成長を遂げている。
そんなわけで安定の現状報告と行こう。まず身長だが、167センチメートルになった。13歳でこの身長は凄いと思う。最近は髪を少し伸ばしており前髪も少し隠れ気味だ。
筋肉も大分ついてきて、細身で筋肉質と言う言葉を遙かに超える細身のマッチョになっている。剣術も自学でかなり成長した。
まあ、この事に関しちゃいつも通りだが、続いて魔法についてだが………大きく成長した。
あの後、試した事は見事に当たっていた。これのお陰でオレは大きく成長することができ、また普通の魔法に関してもローナ姉さんとオレの自学によって大きく進化した。
まあ、つまりはオレはこの二年でかなり人外になったって事だ。
「さあ、アーク。今日は入学試験の日だ。気張って行こう」
オレが着替えを終えて部屋からでると姉さんがそんな事言ってきた。
「分かってるよ。というか姉さんもついてくんの?」
「ああ」
「まじかよ」
まあ、別にいいんだけど。
オレはバッグだけ手に持った。え?収納魔法があるからバッグいらないって?雰囲気だよ。
さて、分かっているとは思うがオレはこの国、マターファルネの方位で別れた街の中にある学園の中でもっとも実力校と呼ばれているリデスタル学園へと入学試験を受けに行く。
きっと行くと色んな奴らがいてオレを良く思わない者も多いだろう。それでもオレはこのクズの汚名を返上するために頑張らなければならないのだ。オレは自分の心に拳を当て自分に気合いを入れた。よし、頑張るぞ。
「行って来ます」
一言、この二年世話になった家にそう告げて目的の場所へとオレは歩き始めた。
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