第49話 妥協と新しい命

私は結局のところ Go○gle とは協力関係を取ることにした。疑わしいところがあるが量子コンピューターが使えるというのは非常に魅力的だった。またドラゴンの血液の検査結果など高い機材を使って調べることができるというのは助かるのは事実だ。


但しドラゴンの血液に関しては、解析ではなくヒールにより利益を得てる場合は15%は全員に入るようにロイヤリティの契約を結んだ。iPS細胞で培養していた場合も同様の契約にした。

この契約により、リサはある程度の収入を得たようでホクホク顔で喜んでいた


未だ古文書は解析中ではあるが、全てが解決するまでは最高機密扱いとするようにお互いに書面で交わした。


アメリカは契約社会であり言葉での約束よりも書面での約束が優先される。そのため何かあった時のためにも書面契約は必要だ。


別れ際にミッシェルにトオルが G○○gle のやり方に怒りを覚えていたと教えておいた。


日本ではググってもカスと呼ばれていてデータのほとんどが役に立たないことなど詳しく説明した。


また、せっかくドラゴンの動画投稿サイトを作ったのに偽物だらけで収入が少なく役に立たないので辞めると言っていたと、しっかりと何度も何度も懇々切々と伝えた。


これを聞いたミッシェルはさすがに青ざめていた。すぐさま会議を開いて優遇するように措置をとるとともに違反しているものは全て削除すると約束した。


私はトオルが怒っているので、どうしようも出来ない事を伝えた。つまりは仲介や取次はできないということだ。ミッシェル本人に頑張ってもらうしかない。


さてここで黒幕の正体を明かしてもらわないと困る。ミッシェルとジェームスを前にはっきりとそう言った。


「『哭龍』がここにあるということは天皇陛下や宮内庁に依頼ができる人物に限られる。柳沢、矢沢総理大臣、アメリカ大統領の3人に絞られる。柳澤は使いパシリなので除外されるし、矢沢総理にそんな度胸があるのなら日本の憲法はもうすでに変わっているはずだ。消去法で残るのはアメリカ大統領のみ。異論があるなら聞きましょうかしら」


私はじろりとミッシェルを睨みつけた。こういう時は弱い方を痛めつけた方が答えが出やすい。ミッシェルが非常にうろたえた態度を見せていた。それを見ただけで証拠はないが確証は得たと言えるだろう。


「今のアメリカ大統領は共和党ね。ロズウェルに言って私は民主党を応援することに決めたと伝えるわ」


今はまだ、小さな反抗だがいずれ大きな花が咲くかもしれない。


まだ会ったことのない大統領に対し今後は敵対していくことを明確に示したのであった。


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私がアメリカに来てから1月ちょっとの期間がたった。ドラコの意向通りなのか妊娠しているかもしれない。もし妊娠していたとしたらこの子供が第5の精霊になる可能性がある。


それらについては一人で悩まずトオルと一緒に悩んで行きたい。

あの後アメリカの知人と挨拶を交わし、実家にちょっとだけ里帰りした。今付き合っているトオルとドラゴンの事など色々と話をした。両親は応援してくれると言ってくれたのが 嬉しかった。誰にも相談できない辛さは分かち合うことはできない。両親に会いに来て良かったと思えた。両親が絶対に味方してくれる存在と思える。そんな家庭環境は大事だ。


徹には電話で帰ることだけ伝えた。他の内容については色々あるので種子島に帰った後に伝えると話した。


ジェームスからはお詫びの言葉と一緒に哭龍を改造した銃(XM109ペイロード改)をもらった。手になじむような感じがしていい銃だと思った。種子島へ直接持ち込むことはできないので一度沖縄米軍基地を経由し持ち帰ることにする。25x59Bmm NATO弾を使用し、大口径対物ライフルで徹甲弾を使用する予定だ。弾体の硬度と質量を大きくして装甲を貫くタイプに弾丸を改造してある。5発の銃弾(GPS内蔵) しか用意できなかったが十分だろう。


ジェームスは沖縄米軍基地 F 35 A に武装を届けに行く。私(ジェーン)も銃を持っているため米軍機で沖縄まで帰り、そこからは飛行機で種子島に戻る。日本国内での猟銃の許可は持っているので銃の登録を沖縄でしておく必要がある。


非常に長く思えたアメリカへの旅もこれで終わる。そしてこれから戦いが始まるのかもしれない。 まだまだ解析が終わっていないことは多い。それでも一度種子島に戻ってトオルと相談して前に進んで行こうと決めた。


きっとトオルも待ちわびてくれているだろう 。

ジェーンの持つ新たな力『女王のオーラ』は人を従えやすくする能力があったのだった。


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