第47話 ドラゴンの血液の秘密
軽い二日酔いから目が覚めた。どうやらソファーで眠ってしまったようだ。だが昨日考えていたことは覚えている。一つ一つ初めて行くしかない。まずはドラゴンの血液を解析しよう。
いつものボディーガード二人を連れて巨大 IT企業に行ってきた。もうすでに顔パスのような状態になっているが一応 ID をもらっておく
正直に言えばドラゴンの血液を渡すのは迷いがあった。でもトオルは解析すると言っていたし、全て私に任せると言ったのだ。自信を持って私がやるべきだわ。
エリザベートが主導してドラゴンの血液の調査に入る。細胞を顕微鏡で見ていくと細胞が傷ついた時に細胞が元に戻る時間が圧倒的に短い。人間も古い細胞がなくなり新しい細胞ができて皮膚とかが再生されるが、それらとは違いドラゴンは圧倒的に再生が早い。これがヒールの力か。この血液があればどれほどの女性が肌の再生のために求めるか、いかほどの金額になるかは想像もつかないレベルだ。
そしてこれの iPS 細胞を培養できれば一瞬でかなりの人を直せる。 それらは素晴らしいことではあるが、そのことに対してドラコが自分を犠牲にする理由はひとつもない。
量子コンピューターを使わなければ培養も含めた開発にはかなりの時間がかかるだろう。そして必要となる血液も大量に必要だ。
G○○gle のミッシェルは取引を希望している。
「こんな世紀の大発見を見逃すなんて考えられない。今ある我が社の資産で買える分は買いたい」
そんなミッシェルの額をデコピンしてやった。
「却下だわ。必要なのはドラゴンを倒すための情報で売るための情報じゃない。目的を履き違えてはいけないわ」
これらの事を見逃すようでは責任者としては失格だ。 そしてミッシェルはドラゴンを殺してアメリカの産業にすべきだと言い出す。独占欲の強い嫌な男だと思った。
私はもちろん却下と伝えた。必要なのはこれらを解析してその細胞が戻るスピードを落とす方法を考えることである。そうすることによってドラゴンに一種の弱点ができるかもしれない。
みんなお金に目がくらんでしまっている。今は人類が生き残ることの方が大事なのだ。みんなにそう説明したら渋々承知したようだ。 ドラゴンの血液サンプルはもうこれ以上はない。鱗に針が突き刺さらない以上ドラコの了承がなければ舌からしか血液を取れない。
必要なのは細胞の再生時間を短くすることではなく。手に入れた DNA の情報や細胞の情報を使って有効な毒は何なのか? 何をすれば細胞を破壊できるのかを考えることが重要なのだ
やっと周りの人たちがやるべきことが見えてきたようなはっとした表情をしている。ドラゴンに毒は効くのだろうか DNA の解析ができるのだろうか。きっと DNA は世界にない遺伝子だから解析できない気がする。運がよくて蛇と似てるとかその程度の情報しか手に入れることはできないだろう。しかし似ている蛇に効く毒があればひょっとしたらドラゴンにも通用するかもしれない。そうやってひとつずつ前を向いてやるしかない。
そう私が喋った時に会議室は静かになった。私はパンと机を叩いてさっさと動けと偉そうに命令してやった。
エリザベート以外の人間は所々に散っていった。エリザベートだけが黙々と研究を進めていた 。
ヒール用の血液を予備として持つのも悪くはないが、ほとんど意味はないだろう。ドラゴンの攻撃を受けた段階で命はほとんどないのだから…
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