第35話 合体魔法の検証

甘い時間を終わらせてジェーンの部屋から弛みきった顔で俺は出てきた。

「ジェーン、このことは二人の秘密だぞ」

にやけた顔が戻らないが、そう俺は彼女の耳元で呟いた。

「何でよ。私たち独身なんだから秘密なんていらないわ」

ジェーンは甘い匂いを漂わせながらそう俺に言った

「いやードラコがそんな風な事を言ってなかったかな。確か互いを諫めよとかっ言って。ドラコは言葉が分かるから周りの人に喋ってしまうと感づいてしまうと思う。ああ見えてドラコは頭いいからね」

彼女はとてもいやそうだったな不承不承に頷いたのだった。


とても甘くていい夜だった。普段の俺ならあそこまでは踏み切れなかっただろう。精霊の影響があるのかもしれない。もしも今の恋愛感情が精霊によるものだとしたら考えただけでも恐ろしさが体の中を駆けずり回る。精霊が居なくなった途端に彼女への興味がなくなる。そんな事は考えたくもなかった。


今日は合体魔法と言うか魔法合体と言う様な魔法を掛け合わせる実験である。よくある火と風を掛け合わせた旋風魔法や水と土を合わせた水責め。こういった魔法と物理的な原理法則を掛け合わせることを検証したい。


今回の合体魔法については映像の録画をしないようにしたいと思う。

魔法の度合いによっては魔法が危険視される可能性が高くなる。その場合に不利益を被るのは俺とジェーンだ。ただ危険だからと言ってそのまま何もしないでいると、いざという時に何をすれば良いか分からなくなってしまう。有事の際に行き当たりばったりで使うのではなく、ある程度練習をしておいた方が損はないだろう。


まずは鉄板テンプレートである火と風の組み合わせだ。使ってみるとファイヤーとウィンドウは魔法効果範囲が広くはなっている。だが爆炎魔法のように爆発はしない結果となった。


続いては土魔法と水魔法を使い、水責めのように川をせき止め水を増やし流し込んでいくことができるかを検証する。ウォーターとアースウォールを使って行ったが、堤防を越える前に中止した。時間は非常にかかるが東京のような人口密集地で行えば恐ろしい結果が待っていることは確実だった。問題はウォーターの継続時間にある。継続時間が長ければ長いほど、またアースウォールの壁が高ければ高いほど溜まった水を一気に流すことができる。その高さを考えるのは311を思い出すのでこの魔法は封印することにする。



他にも水魔法のアイスを使って凍らし、その後にファイアで金属疲労を促す様な物も考えたがいまいちだった。 土と風、水と風、火と土は相性が悪くいい魔法は思い浮かばなかった。 今回は火と風の組み合わせを使った魔法の録画を流すことにした。 俺とジェーンはいきなりイチャイチャするわけにもいかず、かといって話ばかりを続けているというのも何となくおかしい。そんなわけで各々が各魔法を強化するように鍛錬をするだけだった。


「なんじゃお主ら仲違いでもしたのか」

鋭い観察眼のドラゴンである。まったく困ったものだ。


「いや、ドラコがお互いを監視しろとか言うからギクシャクしてるんだよ」

「そうよ。これはドラコちゃんのせい、どうしてくれるのよ」

「そのようなことを言われてもなぁ古よりの習わしになるので許してくれ」


どうやらうまくドラコの注意をかわせたようだ。


「そういえばドラコはどこから来たんだ。前に封印とか言ってたけど悪いことでもしていたのか? 」


今まではあえてドラコとの関係を考えて聞いては来なかったがここに至っては聞いておいた方がいいだろう。


「まあ昔の悪さよ。恥ずかしいので許しておくれ」

そう言ってドラコは隠すように喋ると散歩コースへ飛び立っていった。


「誤魔化されちゃったみたいだ。古文書の方を調べていく方が早いのかもしれない。ジェーンに何かそういう知り合いはいないかな? 」

ドラコと精霊には隠している何かがあるように思えてならない。俺が人間不信過ぎなのかもしれない。


「一人だけいるわ。マサチューセッツ大学の考古学者に知り合いが教授として雇われているの。いいわ頼んでおいてあげる」


ジェーンは知り合いのマサチューセッツ大学の考古学者に電話依頼したところGo○gleに解析依頼をするかもしれないと言われた。

最近Go○gleは量子コンピュータを開発したばかりである。それを使えば解析が早くできるだろうとの教授の話。それと Go○gle から血液サンプルについて入手できないかと聞かれたわ。

「アメリカ軍がどうも関与してる可能性が高いと言っていたからジェーンも気をつけて」

「わかったありがとう。血液サンプルは無理だけど、鱗ならなんとかなるかもしれないわ。交渉してみるので時間ちょうだい」そう言ってジェーンは電話を切った


ジェーンが公文書の調査を依頼している時に、俺は山田さん小島さんと一緒にドラゴンパークで入りきれなくなった人を宿泊するためのホテル建設計画を立てていた。


「社長予算ってどれぐらいまで大丈夫ですか」

小島さんは若くてピチピチした美人だが、あまりにも美人すぎて近寄り難いのが残念だ。

「そうだな魔法関係の映像で5本は作品を作ったからそれらの収入で50億程度は見込めるからそこでやりくりしたいなー」


「すごい収入ですね社長、新しいグッズ考えときましたよ」

そう答える山田くん。


俺は面倒くさそうにしゃべった

「分かった山田君に全て任す。グッズ収入の5%は山田君にロイヤルティとして支払う。新しく作る宿泊関係の責任者は小島さんにやってほしい。これも給料とは別にロイヤルティはそれぞれの収入の5%支払うことにしよう。二人ともどうだろうか」


「社長って気前いいですね。若い女の子はほっといてくれませんよ」

そう小島さんは笑って答えていた。しかし女性関係はもういっぱいいっぱいなのでたくさんだ。今は儲かったお金を回して種子島を少しでも良い土地にしたいと思う。

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